スーパーなどで販売される多くの加工食品には、「賞味期限」または「消費期限」が表示されています。名前が似ているため、「1日でも過ぎたら食べられないの?」「賞味期限なら多少過ぎても大丈夫?」と迷ったことがある人も多いでしょう。
結論からいうと、消費期限は安全面を重視した期限、賞味期限はおいしく食べることができる期限です。ただし、どちらも「未開封で、表示された保存方法を守った場合」が前提です。
この違いを知らずに「期限切れ=すべて危険」と考えると、まだ食べられる食品を捨ててしまうことがあります。一方で、消費期限を賞味期限と同じ感覚で扱うのは衛生面で問題があります。
この記事では、賞味期限と消費期限の違い、どのような食品に表示されるのか、期限を過ぎても食べられる可能性があるのかなどを解説します。
賞味期限と消費期限の違い
消費者庁の「食品期限表示の設定のためのガイドライン」では、消費期限を、定められた方法で保存した場合に、品質の劣化によって安全性を欠くおそれがないと認められる期限としています。
一方の賞味期限は、定められた方法で保存した場合に、期待される品質を十分に保てる期限です。また、賞味期限を過ぎても、その品質が保たれていることがあるとされています。
簡単に整理すると、次のようになります。
| 種類 | 意味 | 期限を過ぎた場合 |
|---|---|---|
| 消費期限 | 安全に食べられる期限 | 食べない |
| 賞味期限 | おいしく食べられる期限 | すぐ食べられなくなるとは限らない |
なお、「製造から5日以内なら消費期限、6日以上なら賞味期限」という単純な決め方ではありません。以前は5日を目安に区別する考え方がありましたが、消費者庁の現行ガイドラインでは推奨されていません。
食品の特徴や製造方法、包装、保存条件などを考慮し、科学的・合理的な根拠に基づいて期限が設定されます。
賞味期限が「年月」だけで表示されることもある
製造日から賞味期限までの期間が3か月を超える食品では、「2027年3月」のように年月だけで表示される場合があります。
例えば、本来の賞味期限が7月18日の食品を年月表示にする場合、「7月」とすると7月31日までと受け取られてしまうため、原則として「6月」と表示します。日付まで書かれていなくても、表示が不完全というわけではありません。
これは消費者庁の食品表示基準Q&Aにも明記されています。製造日から賞味期限までの期間が3か月を超える食品では、年月表示が認められており、表示された月の末日が期限として扱われます。
製造年月日と期限表示は別のもの
「製造年月日」が書かれている食品もありますが、製造年月日は賞味期限や消費期限の代わりにはなりません。必要な賞味期限または消費期限を表示したうえで、製造年月日を任意で併記することはできます。
そのため、食品がいつ作られたかだけで食べられる期間を自己判断せず、パッケージに記載された賞味期限や消費期限を確認しましょう。
消費者庁Q&Aでも、製造年月日のみを表示して期限表示の代わりにすることは認められておらず、必要な期限表示を行ったうえで製造年月日を任意表示できるとされています。
なお、すべての食品に消費期限や賞味期限が表示されるわけではありません。食品表示基準では、砂糖、食塩、チューインガム、アイスクリーム類など、一部の食品は期限表示を省略できるとされています。
消費期限が表示される食品
消費期限は、弁当、調理パン、そうざい、生菓子類、生めん類など、品質が急速に劣化しやすい食品に表示されます。

消費期限を過ぎた食品は、食べないようにしましょう。
「昨日までだったから今日なら大丈夫」「においが普通だから食べられる」といった判断はおすすめできません。食中毒の原因となる細菌は、食品に付着・増殖していても見た目や味、においでは分からないことがあります。
消費期限は安全性を基準として設定される期限です。期限内に食べ切れないと分かった場合は、冷凍に適した食品であれば、傷む前に早めに冷凍するなどの対策を取りましょう。
賞味期限が表示される食品
賞味期限は、スナック菓子、即席めん、缶詰、ペットボトル飲料など、比較的品質が劣化しにくい食品に表示されます。
ただし、同じ種類の食品でも、製造方法や包装、保存条件などによって期限の種類や長さは異なります。食品名だけで判断せず、実際に表示されている期限を確認しましょう。賞味期限を過ぎた場合の考え方は、次の項目で詳しく説明します。
賞味期限切れの食品は食べられる?
賞味期限を過ぎたからといって、直ちに食べられなくなるわけではありません。

適切に保存された未開封の食品では、賞味期限を過ぎても品質が保たれている場合があります。ただし、「3日までなら大丈夫」「1週間なら問題ない」といった共通の基準はありません。どの程度まで品質が保たれるかは食品ごとに異なり、保存状態が悪ければ期限内でも劣化する可能性があります。
包装の膨張や液漏れ、カビ、著しい変色、異臭などがある場合は、食べない方が安全です。
ただし、見た目やにおいが正常だからといって、安全を完全に確認できるわけではありません。農林水産省も、食中毒菌がどの程度いるかを、においや色、味だけで判断することはできないと説明しています。
長期間期限を過ぎている、保存状況が分からない、一度高温になる場所に置いていたなど、安全性に自信がない場合は、無理に食べないようにしましょう。
期限内でも保存状態や開封後は注意
「期限内だから絶対に安全」というわけでもありません。消費期限と賞味期限は、容器や包装を開けていない状態で、表示された保存方法を守った場合の期限です。一度開封してラップや保存袋などで包み直しても、表示された期限がそのまま適用されるわけではありません。
「10℃以下で保存」の食品を長時間常温に置いたり、開封したりすると、期限内でも安全性や品質が保たれるとは限りません。

なお、食品の「常温」は、おおよそ15~25℃が目安とされています。「常温保存」と書かれていても、真夏の車内など高温になる場所での保存を想定しているわけではありません。また、「直射日光を避ける」「高温多湿を避ける」などの注意書きがある場合は、その条件も守りましょう。
開封後は「賞味期限までまだ2週間あるから大丈夫」と考えず、商品の表示に従い、できるだけ早く食べることが大切です。食品によって傷みやすさが異なるため、「開封後は何日まで」と一律に決めることはできません。「開封後は○日以内」などの表示がある場合は、その案内に従いましょう。
冷蔵庫も万能ではありません。低温で細菌の増殖を抑えることはできますが、低温でも増殖できる食中毒菌があります。冷蔵した調理済み食品についても、長期間保存せず早めに食べましょう。
期限表示を確認するときの4つのポイント
食品を食べられるか判断するときは、日付だけを見るのではなく、次の4点をセットで確認しましょう。
- 消費期限か賞味期限か
- 未開封か開封済みか
- 表示された保存方法を守っていたか
- 包装や食品に異常がないか
傷んだ食品は加熱すれば食べられる?
「加熱すれば菌が死ぬから大丈夫」と考えるのも危険です。
十分な加熱によって多くの細菌を減らせる場合はありますが、食品中ですでに熱に強い毒素が作られている場合などは、加熱だけですべてのリスクをなくせるとは限りません。
代表例が黄色ブドウ球菌です。農林水産省によると、この菌自体は熱に弱いものの、菌が食品中で作る毒素は熱に強く、一度毒素ができると加熱しても食中毒を防げません。
そのため、消費期限を過ぎた食品を「火を通せば大丈夫」と考えて食べるのは避けましょう。賞味期限切れの場合も、明らかに異常がある食品を加熱して食べるべきではありません。
期限はどのように決められる?
食品の期限は、メーカーなどの表示責任者が、単に感覚だけで決めるものではありません。
消費者庁のガイドラインでは、食品の特性に応じて、微生物試験、理化学試験、官能検査などの結果を利用し、科学的・合理的に期限を設定する考え方が示されています。
消費期限では安全性に関係する微生物試験などを重視し、賞味期限では理化学試験や官能検査など品質に関する試験を重視します。また、食品によっては品質のばらつきなどを考慮して、安全係数を用いることもあります。
このため、賞味期限は「期限を過ぎた瞬間に危険になる日」ではありませんが、根拠なく設定された日付でもありません。
安全係数とは?
期限を設定するときは、試験で確認できた期間をそのまま表示期限にするとは限りません。食品によって品質のばらつきや微生物が増殖する可能性などを考慮し、確認できた期間より短い期限を設定するために「安全係数」を用いる場合があります。
ただし、安全係数は一律の数値ではなく、食品の特性に応じて設定されます。消費者庁のガイドラインでは、食品の特性などを踏まえつつ、安全係数は1に近づけることが望ましいとされています。
「品質保持期限」とは?
「品質保持期限」は、以前使われていた期限表示です。
かつては、比較的品質が劣化しにくい食品について、食品衛生法では「品質保持期限」、JAS法では「賞味期限」という用語が使われていました。同じような期限を示す2つの用語が併存して分かりにくかったことから、2003年7月31日の制度改正で「賞味期限」に統一されました。
なお、経過措置として2005年7月31日までに製造・加工・輸入された食品などでは、従来の「品質保持期限」の表示も認められていました。
現在は基本的に「消費期限」と「賞味期限」の違いを理解しておけば問題ありません。
まとめ
賞味期限と消費期限では、期限が示す意味が異なります。
消費期限は安全に食べられる期限であり、過ぎた食品は食べないのが基本です。一方、賞味期限はおいしく食べられる期限なので、適切に保存された未開封品であれば、期限を過ぎても食べられる可能性があります。
ただし、賞味期限を何日まで過ぎても大丈夫かを一律に決めることはできません。また、どちらの期限も未開封で表示された保存方法を守った場合が前提です。
食品を見るときは「期限の日付」だけでなく、「消費期限か賞味期限か」「開封しているか」「保存方法を守っていたか」まで確認しましょう。
正しい意味を知っておけば、食中毒のリスクに配慮しながら、まだ食べられる食品を必要以上に捨てることも減らせます。また、すぐに食べる予定の食品は、商品棚の手前にあるものから選ぶ「てまえどり」を意識することも、食品ロス削減につながります。
引用・参考資料
- 消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(令和7年3月)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_260401_30.pdf - 消費者庁「食品表示基準」(令和8年4月1日現在)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_260401_05.pdf - 消費者庁「食品表示基準Q&A」(最終改正 令和8年4月1日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_260401_31.pdf - 消費者庁「食品ロス削減ガイドブック」(令和7年度版)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/pamphlet/assets/consumer_education_cms201_20251205_0001.pdf - 農林水産省「消費期限と賞味期限」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/abc2.html - 農林水産省「食中毒の予防」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/afp2.html - 農林水産省「冷蔵庫のかしこい使い方~知ってお得な食品の保存~」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/frige.html - 農林水産省「黄色ブドウ球菌(細菌)[Staphylococcus aureus]」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/staphylococcus.aureus.html - 厚生労働省「食品衛生法施行規則等の一部改正について」(平成15年7月31日)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6133&dataType=1&pageNo=1

