コンタクトケースにヌメリがあるときは使える?原因と掃除・交換の判断基準

コンタクトレンズを外してケースに入れようとしたとき、ケースの内側がヌルッとしていると、「洗えばまだ使えるのか」「カビが生えたのでは」と不安になるかもしれません。結論からいうと、はっきりしたヌメリがあるケースは、洗って使い続けず、新しいものに交換するのが基本です。

ヌメリは、単なる汚れとは限りません。細菌などの微生物がケースの表面に付着してできる「バイオフィルム」の可能性もあり、放置するとケース自体がレンズの汚染源になることがあります。コンタクトレンズは目に直接触れる高度管理医療機器です。ヌメリがある場合は無理にケースを使い続けず、眼鏡で過ごして新しいケースを用意しましょう。

この記事では、コンタクトケースにヌメリができる原因や、洗浄方法、交換する判断基準、替えのケースがない場合の対処方法を解説します。ソフトレンズとハードレンズではケア方法が異なるため、その違いについても確認していきます。

目次

コンタクトケースがヌメる主な原因

細菌などが作るバイオフィルム

ケースのヌメリで特に注意したいのが、バイオフィルムです。ケースに残った水分や汚れに細菌などの微生物が付着して増えると、分泌物などと一緒に膜状の汚れを作ることがあります。排水口のヌメリと似た仕組みですが、見た目だけで菌の種類や危険性を判断することはできません。

ケース表面にできたバイオフィルムは、保存液で軽くすすぐだけでは十分に落とせないことがあります。はっきりしたヌメリがある場合は、洗って使い続けるより新しいケースへ交換する方が安全です。

涙に含まれるタンパク質や脂質

涙に含まれる成分も、ケースが汚れる原因の一つです。涙には水分だけでなく、タンパク質や脂質、ムチンなどが含まれており、レンズを装用するとこれらが表面に付着します。レンズを十分にこすり洗いしないままケースへ戻すと、汚れが保存液やケースへ持ち込まれることがあります。

ただし、ケースが滑る原因がすべて涙由来の汚れとは限りません。ケア液の成分が残っている場合や、皮脂、ハンドクリーム、化粧品、石けんなどが付着している場合もあります。感触だけで原因を判断しないようにしましょう。

古い保存液の継ぎ足しと乾燥不足

前回の液を捨てずに新しい液を足す「継ぎ足し」は避けましょう。古い液にはレンズから移った汚れや微生物が含まれている可能性があり、新しい液を加えても消毒効果が十分に得られないおそれがあります。

また、使用後のケースを閉じたままにしたり、湿気の多い場所に置いたりすると、内部に水分が残りやすくなります。毎回古い液をすべて捨て、洗浄後はしっかり乾燥させることがヌメリの予防につながります。

カビやほかの微生物による汚染

コンタクトケースから真菌が検出された研究報告もあります。ただし、白・黒・ピンクなどの斑点があっても、見た目だけでカビかどうかを判断することはできません。斑点や変色、異臭、落ちない汚れなどがある場合は、原因を特定しようとせず、新しいケースに交換しましょう。

コンタクトケースがヌメる主な原因を示す図解。レンズからの汚れの持ち込み、保存液の継ぎ足し、乾燥不足、微生物の付着を紹介

ヌメリか保存液の残りか迷うときの洗浄方法

はっきりしたヌメリがあるケースは、洗って使い続けず、新しいものに交換するのが基本です。以下は、ヌメリかケア液の残りによる滑りか判断しにくい場合に行う、ケースの基本的な洗浄方法です。洗浄する際は、ケースの中を空にしてから行ってください。

ケースにレンズが入っている場合は、自己判断でコップなどの別容器へ移さず、後述の「コンタクトケースの替えがない場合はどうする?」を確認してください。また、洗浄しても、ヌメリや汚れが残る場合は再使用せず、新しいケースへ交換しましょう。

なお、過酸化水素タイプなど専用ケースを使用する製品は、以下の方法ではなく、必ず製品の説明書に従ってください。過酸化水素液を手指に付けたり、専用ケース以外に入れたりしないようにしましょう。

  1. 石けんで手を洗い、清潔なタオルやペーパーで十分に乾かします。
  2. ケース内の古い保存液をすべて捨てます。古い液は再利用せず、新しい液を継ぎ足さないでください。
  3. ケースの洗浄に使用できると指定された新しいケア液を使い、清潔な指でケースの内側や角、ふたの裏、ねじ部分などをやさしくこすり洗いします。
  4. ケースのすすぎに使用できる新しいケア液で十分にすすぎ、余分な液を切ります。
  5. 製品の説明書に従って、清潔なティッシュで余分な液を拭き取るか、ふたを外した状態で十分に乾燥させます。乾燥中は、清潔で乾いた場所に置いてください。
  6. 完全に乾いた後もヌメリや膜、斑点、異臭が残る場合は使用せず、新しいケースへ交換します。傷やひび、ふたの変形がある場合も交換してください。
コンタクトケースの洗浄手順を示す図解。古い液を捨て、指定液でこすり洗いし、新しい液ですすいで、ふたを外して乾燥させる方法

ケースを洗うときは、使用しているケア用品で指定された液を使いましょう。食器用洗剤や漂白剤、アルコール、熱湯などを自己判断で使用すると、成分が残ったり、ケースが変形・変質したりするおそれがあります。電子レンジや煮沸による消毒も、製品の説明書で認められていない場合は行わないでください。

洗浄後なら使える?ケースを交換する判断基準

ケア液の成分が残って一時的に滑りを感じていただけで、洗浄・乾燥後に膜やベタつき、斑点、異臭がなく、ケースにも傷や変形がない場合は、製品の説明書に従って使用してください。ただし、はっきりしたヌメリがあった場合や、滑りの原因を判断できない場合は、洗って使い続けず、新しいケースへ交換する方が安全です。

米国疾病予防管理センター(CDC)や米国食品医薬品局(FDA)は、ケースを少なくとも3か月ごとに交換するよう案内しています。日本眼科医会も、約3か月を交換の目安としています。ただし、3か月は「そこまで安全に使える期間」という意味ではありません。ヌメリや傷、ひび、変形などがあれば、使用期間が短くても交換しましょう。ケア用品に新しいケースが付属している場合は、ボトルを交換するタイミングでケースも替えると忘れにくくなります。

ソフトとハードで異なる注意点

ソフトコンタクトレンズ

1日使い捨てレンズは、一度外したら廃棄することを前提とした製品です。ケースに保存して再使用してはいけません。2週間交換や1か月交換などの再使用タイプは、製品で指定された方法に従って、毎回洗浄・すすぎ・消毒・保存を行います。

ソフトレンズやそのケースには、水道水やミネラルウォーターなど、コンタクトレンズ用として指定されていない水を使用しないでください。一般的な精製水も、自己判断では使用しないようにしましょう。水にはアカントアメーバなどの微生物が存在する可能性があり、レンズやケースが汚染されると角膜感染症につながるおそれがあります。生理食塩水は製品によってすすぎに使える場合がありますが、消毒することはできません。

ソフトコンタクトのケースを水道水で洗ってよいか、ケア液との違いや製品ごとの洗い方については、「ソフトコンタクトのケースに水道水はNG?洗浄液との違いと正しい洗い方を解説」で詳しく解説しています。

水道台や洗面台にレンズを落とした場合の対処については、「水道台に落としたコンタクトレンズは使える?洗浄・消毒して再利用できるか解説」で詳しく解説しています。

ハードコンタクトレンズ

ハードレンズは、ソフトレンズとは材質やケア方法が異なります。使用しているレンズやケア用品の説明書に従い、指定された方法でこすり洗い・すすぎ・保存を行ってください。

ハードレンズには、専用のケア用品で洗浄した後、水道水ですすぐ手順が指定されている製品もあります。ただし、すべてのハードレンズで水道水を使えるわけではありません。使用する洗浄液や保存液、すすぎ方は製品によって異なるため、説明書や眼科医の指示を優先しましょう。

また、ハード用とソフト用のケア用品を自己判断で代用したり、異なる方式のケースを流用したりするのも避けてください。ハードレンズでも、ケース内の保存液は毎回新しいものに交換し、使用後のケースを洗浄・乾燥させ、定期的に交換することが大切です。

コンタクトケースの替えがない場合はどうする?

替えのケースがない場合でも、ヌメリのあるケースを使い続けたり、コップや食品保存容器などで代用したりするのは避けてください。また、水道水を保存液の代わりに使用することもできません。新しいケースと使用中のレンズに合ったケア用品を用意できるまでは、コンタクトレンズを装用せず眼鏡で過ごすのが安全です。眼科医から連続装用を指示されている場合を除き、ケースがないことを理由にレンズを着けたまま眠るのも避けましょう。

1日使い捨てレンズは、そのまま廃棄してください。2週間・1か月交換などの再使用タイプのソフトレンズを、ヌメリや目立つ汚れのあるケースに入れてしまった場合も、そのまま装用するのは避けましょう。新しいレンズに交換できる場合は、廃棄する方が安全です。再使用してよいか判断に迷う場合は、自己判断で装用せず、使用しているレンズやケア用品を伝えて眼科へ相談してください。

ハードレンズは、製品によって乾燥保存できるかどうかや、適切な保存方法が異なります。自己判断で乾燥させたり、水に浸したりせず、使用しているレンズやケア用品の説明書を確認してください。分からない場合は、処方を受けた眼科や購入店へ相談しましょう。外出や旅行の際は、予備のケースやケア用品、眼鏡を用意しておくと安心です。

コンタクトケースの替えがない場合の対応を示す図解。眼鏡で過ごして新しいケースを用意し、コップや水道水での代用、レンズを着けたまま眠ることを避ける方法

ヌメリを防ぐための毎日のメンテナンス

毎日のポイントは、古い液を残さないこと、ケースを適切に洗浄すること、使用後に十分乾燥させることです。

  • レンズに触れる前に石けんで手を洗い、よく乾かす
  • レンズは、製品で指定されたケア液を使って適切にこすり洗いする
  • ケース内の古い液は毎回すべて捨て、新しい液を継ぎ足さない
  • 使用後のケースは、ケースの洗浄・すすぎに使用できる新しいケア液でこすり洗いする
  • 洗浄後は、製品の説明書に従って十分に乾燥させる
  • 保存液ボトルの先端をケースや指に触れさせない
  • 約3か月を目安にケースを交換し、ヌメリや傷、変形などがあれば早めに新しいものへ替える

予備のケースは、使用中のケア用品に対応した未使用品を一つ用意しておくと安心です。使用したケースはその日のうちに洗浄し、次に使うまで十分に乾燥させましょう。左右のふたを取り違えやすいケースでは、レンズを入れる前に表示も確認してください。

保存液を注ぐ際は、ボトルの先端がケースや指に触れないようにしましょう。先端が触れると、ボトル内へ汚れや微生物を持ち込む可能性があります。使用後はすぐにふたを閉め、使用期限だけでなく、開封後の使用期間や保管方法についても製品の表示に従ってください。

目に異常があるときはケースの掃除より受診を優先

ヌメリのあるケースを使った後に、目の赤みや痛み、まぶしさ、急なかすみ、涙が多く出る、目やにが増えるなどの症状が現れた場合は、すぐにレンズを外してください。症状がある間は再装用せず、早めに眼科を受診しましょう。角膜感染症は、細菌や真菌、アカントアメーバなどによって起こり、重症化すると視力に影響することがあります。

まとめ

コンタクトケースにはっきりしたヌメリがある場合は、洗って使い続けず、新しいケースに交換するのが基本です。ヌメリはバイオフィルムなどの可能性もあり、軽くすすぐだけでは十分に落とせないことがあります。

ケースを清潔に保つには、古い保存液を毎回捨て、使用している製品で指定されたケア液を使って洗浄し、十分に乾燥させることが大切です。ソフトレンズとハードレンズではケア方法が異なるため、それぞれの製品の説明書に従ってください。

ヌメリや落ちない汚れ、傷、変形などがある場合は、使用期間にかかわらずケースを交換しましょう。また、ケースを使用した後に目の痛みや充血、かすみなどの症状が現れた場合は、レンズを外して早めに眼科を受診してください。

引用・参考資料

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