熱い料理をそのまま冷蔵庫に入れても大丈夫?冷ます時間や安全な保存方法を解説

作りたてのカレーやスープ、煮物などが余ったとき、「熱いまま冷蔵庫に入れてよいのか」「常温まで冷ましてから入れるべきか」と迷うことがあります。

結論からいうと、熱い料理は必ず完全に常温まで冷ましてから冷蔵庫へ入れる必要はありません。ただし、料理の量や冷まし方には注意が必要です。

この記事では、熱い料理を冷蔵庫へ入れるときの注意点や、常温で置ける時間の目安、夏・冬の違い、冷蔵庫への影響、保冷剤などを使った冷まし方について解説します。

目次

熱い料理は冷蔵庫にそのまま入れても大丈夫?

少量の料理であれば、熱い状態から冷蔵庫へ入れても基本的には問題ありません。

FDAは、残った料理を調理後2時間以内に冷蔵・冷凍し、熱い食品は小さな容器に分けて冷蔵庫で早く冷やすよう案内しています。米国農務省(USDA)も、熱い料理を直接冷蔵庫へ入れることができるとしたうえで、大量の場合は浅い容器に分けて速やかに冷やすよう推奨しています。

つまり、「熱いものを冷蔵庫に入れると必ず故障するから、何時間も室温で冷ます」という考え方は適切ではありません。

ただし、大鍋のカレーやシチュー、スープなどは別です。鍋の表面が冷めても中心部は高温のままになりやすく、細菌が増えやすい温度帯をゆっくり通過することがあります。

ウェルシュ菌は熱に強い「芽胞」を作り、この芽胞は通常の加熱調理でも生き残ることがあります。その後、料理が冷めて菌が増殖しやすい温度になると、再び増殖することがあります。また、ウェルシュ菌には酸素の少ない環境で増えやすい性質があります。そのため、鍋のまま長時間放置せず、粗熱をできるだけ早く取り、浅い容器に小分けして速やかに冷蔵・冷凍することが大切です。

「粗熱を取る」とは完全に常温まで冷ますことではない

よく「粗熱を取ってから冷蔵庫へ」といわれますが、何時間も放置して完全に室温と同じ温度にする必要はありません。

家庭では、浅い容器へ小分けし、必要に応じて氷水や冷水も利用して、できるだけ早く冷やしましょう。

熱い料理を浅い容器に小分けし、必要に応じて氷水で冷やしてから冷蔵庫へ入れる手順

特に大切なのは、食品を細菌が増えやすい温度帯に長く置かないことです。厚生労働省の大量調理施設向けマニュアルでは、約20~50℃を食中毒菌の発育に適した温度帯としており、加熱後に冷却する場合は、この温度帯にとどまる時間を可能な限り短くするよう求めています。なお、約20~50℃は特に増殖しやすい温度帯を示すもので、この範囲を外れれば直ちに安全になるという意味ではありません。

同マニュアルでは、30分以内に中心温度を20℃付近、または60分以内に10℃付近まで下げるよう工夫するとしています。

ただし、これは給食施設など大量調理施設向けの衛生管理基準であり、一般家庭に「30分以内に20℃まで下げなければ危険」と義務づけるものではありません。家庭では「なるべく短時間で冷やすことが重要」という考え方の参考にするとよいでしょう。

料理は常温で何時間まで大丈夫?

「何分置いたら腐る」という一律の時間はありません。料理の種類、最初の温度、室温、量、容器の深さ、調理後に付着した菌の量などによって変わるためです。

また、見た目やにおいが正常でも食中毒菌が増えていることがあります。農林水産省も、におい・色・味では食中毒菌がどの程度いるか判断できないとしています。

家庭で使いやすい上限の目安としては、USDAとFDAが示している「2時間ルール」があります。調理済み料理など冷蔵が必要な食品は、調理後または保温をやめてから2時間以内に冷蔵することが推奨されています。

ただし、「2時間までは積極的に室温へ置いてよい」という意味ではありません。保存すると決めたら、できるだけ早く冷却を始めるのが基本です。

気温が約32℃を超える場合は1時間以内を目安にする

夏について「30分で腐る」と断定することはできません。

一方、USDAとFDAは、周囲の気温が90°F(約32℃)を超える場合、冷蔵が必要な食品を1時間以内に冷蔵するよう案内しています。

調理済み料理の常温放置時間は通常2時間以内、約32℃を超える環境では1時間以内が目安

「2時間以内」「1時間以内」は、いずれも上限の目安です。室温が32℃以下の場合でも、保存すると決めたら時間いっぱいまで待たず、できるだけ早く冷蔵しましょう。

厚生労働省は、O157が室温でも15~20分で2倍に増える場合があるとしています。20分で食べられなくなるという意味ではありませんが、常温放置を長引かせない理由のひとつです。

冬なら室温に放置しても大丈夫?

冬でも、一晩台所に置いておく保存方法はおすすめできません。

「外が5℃だから台所も冷蔵庫と同じ」と考えたくなりますが、実際の室温は暖房、日当たり、調理器具の余熱などによって変動します。また、大鍋の中心部は外気が低くてもすぐには冷えません。

厚生労働省は家庭の冷蔵庫を10℃以下に保つことを目安としており、農林水産省は4℃前後を適温の目安としています。多くの細菌は10℃では増殖がゆっくりになりますが、低温で死ぬわけではありません。

そのため、室温が一時的に5~10℃程度だからといって「何時間でも放置してOK」とは考えないほうが安全です。暖房を使わない冬の部屋が継続的に10℃以下だったとしても、料理の中心まで同じ温度になっているとは限りません。

冬も基本は同じで、保存する料理は小分けして早めに冷蔵庫へ入れましょう。「冬なら翌朝まで鍋を出しておいても大丈夫」とするのは避けたほうが無難です。

熱い料理を入れると冷蔵庫の温度は上がる?

熱い料理を冷蔵庫へ入れれば、その熱が庫内の空気や棚、周囲の食品へ移るため、周辺の温度は一時的に上がります。

FDAは、熱い食品を入れること自体で冷蔵庫が傷むわけではないとしています。ただし、大鍋いっぱいの熱い料理は庫内へ持ち込む熱量が大きく、料理の中心まで冷えるのにも時間がかかります。

そのため、「熱いものは絶対に入れてはいけない」ではなく、「大量の熱い料理は浅い容器へ小分けしてから入れる」と考えるのが適切です。

また、厚生労働省は、食品を詰める量を7割程度にすることを目安としています。冷気が循環できるよう、熱い料理を入れる際も周囲に余裕を持たせ、冷気の流れを妨げないようにしましょう。

保冷剤で料理を冷やしても大丈夫?

保冷剤を保存容器の外側から当てて、料理を冷ます補助に使うことはできます。

ただし、公的機関が調理後の料理を急冷する代表的な方法として示しているのは、「浅い容器へ小分けする」「氷水や冷水を利用する」といった方法です。USDAは、熱い食品を冷蔵庫へ直接入れる方法のほか、氷水や冷水につけて素早く冷やしてから冷蔵する方法も案内しています。

スープやカレーなら、鍋を清潔な氷水や冷水に当て、ときどき中身を混ぜると中心部まで冷えやすくなります。容器へ小分けした後、容器の外側に保冷剤を当てる方法も冷却の補助になります。

ただし、一般的な保冷剤は料理の中へ直接入れず、容器の外側から使用しましょう。また、保冷剤によって耐熱温度や使用方法が異なるため、熱い鍋などに使用する場合は製品表示を確認しましょう。

熱いまま入れられる冷蔵庫もある

一般的な冷蔵庫でも、小分けした熱い料理を冷蔵することはできますが、熱い食品を入れることを明確に想定した機能を備える製品もあります。

たとえば三菱電機の一部冷蔵庫には「熱いまま瞬冷凍」という機能があり、メーカー公式情報では約80℃までの食品をそのまま専用の瞬冷凍室へ入れられるとされています。通常の冷蔵室ではなく、対応する瞬冷凍室を使用する機能です。

ただし、「急冷」「急速冷凍」など似た名称の機能でも、熱い食品に対応する温度や使用条件は機種によって異なります。利用する際は、必ず冷蔵庫の取扱説明書を確認してください。

まとめ

熱い料理は、必ず完全に常温まで冷ましてから冷蔵庫へ入れなければならないわけではありません。むしろ、何時間も室温に放置して冷めるのを待つほうが、食中毒のリスクにつながります。

保存すると決めた料理は、浅い容器へ小分けして早く冷やすのが基本です。常温放置は2時間以内、周囲が約32℃を超える暑い環境では1時間以内を上限の目安とし、それより早く冷蔵することを心がけましょう。

冬でも「寒いから一晩大丈夫」とは考えず、早めの冷蔵が安全です。大量のカレーやスープなら、小分けに加えて氷水や冷水を利用すると効率よく冷却できます。

「熱い料理を入れないこと」よりも、「細菌が増えやすい温度帯に長く置かず、すばやく冷やすこと」を意識するのが、安全な保存につながります。

引用・参考資料

目次