睡眠時間は何時間が最適?年代・性別による違いと自分に合う睡眠時間の見つけ方

「毎日7時間眠れば十分」「8時間睡眠が理想」といった話をよく聞きます。しかし、すべての人に共通する唯一の正解はありません。必要な睡眠時間は年齢、体質、健康状態、日中の活動量などによって変わるためです。

結論からいえば、成人では7時間前後を一つの目安にしつつ、6時間以上の睡眠時間を確保し、日中の眠気や朝の休養感を見ながら調整するのが現実的です。

厚生労働省は成人に対し、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保するよう勧めています。一方、米国の睡眠医学分野の共同声明では、健康な成人は1日7時間以上眠ることが推奨されています。基準の示し方には違いがありますが、「6時間を下回る生活を当然にしない」「成人ではおおよそ6~8時間を一つの目安にする」と考えると分かりやすいでしょう。

年代別の睡眠時間の目安をまとめると、次のとおりです。

年代睡眠時間の目安ポイント
小学生9~12時間成長や学習のため十分な睡眠を確保する
中学生・高校生8~10時間夜型になりやすいため生活リズムにも注意する
成人6時間以上を目安(おおよそ6~8時間)日中の眠気や睡眠休養感を見ながら調整する
高齢者個人差に応じて必要な睡眠時間を確保床上時間が8時間以上にならないことを目安にする
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最適な睡眠時間は「翌日の状態」で判断する

睡眠時間は、寝床にいた時間と同じではありません。寝つくまでの時間や夜中に目覚めている時間があれば、その分だけ実際の睡眠時間は短くなります。

寝床に7時間いても、寝つくまでの時間や途中覚醒があると実際の睡眠時間は短くなることを示した図

また、時間だけでなく「睡眠休養感」も重要です。睡眠休養感とは、朝起きたときに「休めた」「疲れが取れた」と感じられる感覚を指します。7時間眠っていても、強いいびきや無呼吸、中途覚醒などで睡眠が分断されていれば、十分に休めないことがあります。

自分に合った睡眠時間の目安は、次の状態を総合して判断します。

  • 目覚まし時計が鳴っても極端につらくない
  • 午前中から強い眠気が続かない
  • 仕事や勉強中に集中力が大きく落ちない
  • 休日に平日より大幅に長く眠らなくても過ごせる
  • 朝にある程度の休養感がある

これらを満たしていれば、睡眠時間はおおむね足りている可能性があります。反対に、平日は5~6時間で済ませ、休日に昼近くまで眠る生活なら、平日に睡眠不足が蓄積していると考えたほうがよいでしょう。休日に長く眠っても、平日の睡眠不足による影響を十分に解消できるとは限りません。また、睡眠をあらかじめ『貯金』しておくこともできません。

年代によって最適な睡眠時間は変わる

小学生は9~12時間が目安

成長期の子どもは、成人より長い睡眠が必要です。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、小学生は9~12時間を参考に睡眠時間を確保するよう示されています。

子どもの睡眠不足は、単に授業中に眠くなるだけではありません。集中力、感情の安定、学習した内容の定着、心身の成長にも関係します。夜更かしを前提に朝だけ遅くするのではなく、朝に光を浴び、朝食をとり、日中に体を動かす生活リズムが大切です。

中学生・高校生は8~10時間が目安

中学生・高校生では8~10時間が参考になります。しかし、部活動、塾、宿題、スマートフォンなどによって、実際には必要時間を確保しにくい年代です。

思春期は体内時計の変化によって就寝時刻が遅れやすい一方、学校の開始時刻は大きく変わりません。そのため、本人の意志が弱いから眠れないとは限りません。朝の起床時刻から逆算し、入浴、勉強、スマートフォンを終える時刻を決めるほうが実行しやすくなります。

成人は6時間以上、実用上は7時間前後から考える

厚生労働省は成人について、6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保するよう勧めています。ただし、これは「6時間眠れば誰でも十分」という意味ではありません。必要量には個人差があり、7~8時間程度必要な人も少なくありません。

脳波を用いた研究では、実際に眠れる時間は15歳前後で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間と、成人後は年齢とともに少しずつ短くなる傾向が示されています。若い成人ほど、仕事や趣味のために必要な睡眠を削らないことが重要です。

高齢者は「長く寝床にいすぎない」ことも大切

年齢を重ねると、若い頃より早く目が覚めたり、夜中に目覚めたりしやすくなります。これは加齢に伴う自然な変化を含みます。眠れないからと早い時間から布団に入り、長時間寝床で過ごすと、かえって寝つきが悪くなり、途中で目覚める時間が増えることがあります。

厚生労働省は高齢者について、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保するよう勧めています。ただし、病気の療養中などは長い睡眠が必要な場合もあります。年齢だけで一律に短くするのではなく、日中の眠気や体調を見て判断しましょう。

性別によって必要な睡眠時間は違う?

成人男性は7時間、女性は8時間というように、性別だけで推奨時間を分ける公的な基準は一般的ではありません。基本的には、性別よりも年齢、体質、生活状況による個人差のほうを重視します。厚生労働省の推奨事項も、成人男女で異なる時間を設定していません。

ただし、睡眠の乱れ方には性別やライフステージによる違いがあります。女性は月経周期に伴うホルモン変動によって、月経前に眠気が強まったり、眠りが浅くなったりすることがあります。妊娠中は睡眠が不安定になりやすく、妊娠前より睡眠時間が長くなる傾向があります。また、更年期には女性ホルモン(エストロゲン)のゆらぎや減少に加え、ホットフラッシュなどの更年期症状によって睡眠が分断され、不眠症状が現れやすくなります。

男性でも更年期以降は不眠症などの睡眠障害が増えます。ただし、男性ホルモン(アンドロゲン)の減少が直接睡眠を障害するという証拠は十分ではありません。また、加齢による早寝早起きの傾向は男性で強いとされています。したがって、性別で機械的に睡眠時間を増減するのではなく、月経、妊娠、更年期、仕事、育児など、その時期特有の事情を考慮することが大切です。

ショートスリーパーになることは現実的?

生まれつき短い睡眠でも日中の機能を保てる「自然なショートスリーパー」は存在します。実際に、短時間睡眠の家族からDEC2という遺伝子の変異が見つかり、睡眠時間の短さと関連することが報告されています。

ただし、これは短時間睡眠を練習すれば誰でも身につけられるという意味ではありません。大多数の人が睡眠を4~5時間に削れば、眠気を自覚しにくくなったとしても、注意力や判断力まで正常とは限りません。短い睡眠に慣れたのではなく、眠い状態に慣れてしまっただけの可能性があります。睡眠時間を制限した状態が続くと、脳や身体のパフォーマンスが低下することも報告されています。

休日の寝だめや日中の強い眠気があるなら、単なる睡眠不足の可能性があります。時間を増やすために無理に睡眠を削るのは避けましょう。

自然なショートスリーパーと単なる睡眠不足の違いを比較した図

睡眠時間と同じくらい大切な4つのポイント

毎日の時刻を大きくずらさない

平日と休日で起床時刻が大きく変わると、体内時計がずれ、いわゆる「社会的時差ボケ(ソーシャルジェットラグ)」が生じやすくなります。その結果、休日明けの朝につらさを感じることがあります。

休日も平日との差をなるべく小さくし、起きたら朝の光を浴びましょう。寝不足の日に少し長く眠ることはあっても、毎週の大幅な寝だめを前提にしないことが大切です。

眠る直前の行動を見直す

夕方以降のカフェイン、寝酒、就寝直前の重い食事、明るい画面の長時間使用は、寝つきや睡眠の持続を妨げる場合があります。寝室は暗く静かにし、暑すぎたり寒すぎたりしない環境に整えましょう。日中に適度に体を動かすことも、夜の睡眠を整える助けになります。

日中の強い眠気には短い昼寝を活用する

日中に強い眠気を感じる場合は、午後3時前までに、30分以内を目安として短い昼寝を取り入れる方法があります。

昼寝は午後3時前まで・30分以内を目安にするポイントを示した図

一方、長時間眠ると目覚めた直後にぼんやりする「睡眠慣性」が起こったり、夜の睡眠に影響したりすることがあります。また、昼寝は慢性的な睡眠不足を根本的に解消する方法ではないため、まずは夜間の睡眠時間を十分に確保することが大切です。

不調が続くなら睡眠時間だけで解決しようとしない

十分な時間を確保しても休養感がない、強いいびきや呼吸停止を指摘された、日中に耐えがたい眠気がある、寝つけない状態が長く続く場合は、睡眠時無呼吸症候群や不眠症などが隠れている可能性があります。

運転中に眠くなるほどの眠気は事故につながるため、早めに医療機関へ相談してください。受診先に迷う場合は、まずかかりつけ医や内科に相談し、必要に応じて睡眠外来などの専門医療機関を紹介してもらう方法もあります。

まとめ

睡眠時間の最適解は一律ではありませんが、成人では6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保し、7時間前後を一つの参考にしながら、朝の休養感と日中の状態を確認するのが現実的です。

小学生は9~12時間、中学生・高校生は8~10時間が参考になり、高齢者では必要以上に長く寝床で過ごさないことも重要です。

性別だけで推奨時間が大きく変わるわけではありませんが、女性は月経、妊娠、更年期などの影響を受けやすく、男性にも加齢に伴う変化があります。また、生まれつきのショートスリーパーは存在するものの、睡眠を削る訓練で目指すものではありません。

数字だけにこだわらず、「必要な時間を確保できているか」「朝に休めた感覚があるか」「日中に眠気で困っていないか」の3点から、自分に合った睡眠を探しましょう。

引用・参考資料

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