毎日シャワーだけでも大丈夫?たまには湯船に浸かったほうがよいのか

仕事や家事で疲れて帰宅した日は、浴槽にお湯を張るのが面倒に感じるものです。毎日の入浴をシャワーだけで済ませていると、「湯船に浸からないと健康に悪いのでは?」と不安になる人もいるでしょう。

結論からいうと、体を清潔に保つことが目的であれば、毎日シャワーだけでも対応できます。ただし、体をしっかり温めたい日、寝つきを整えたい日、肩や腰のこわばりを和らげたい日などは、無理のない範囲で湯船に浸かる価値があります。

一方で、湯船には浴槽掃除の手間や水道代・ガス代がかかります。また、熱い湯や長風呂は体への負担になるため、「健康のために毎日必ず入るべき」と考える必要はありません。普段はシャワー、寒い日や疲れた日は湯船という使い分けでも十分です。

目次

シャワー派と風呂派はどれくらいいる?

公的統計では、「シャワー派」「風呂派」という区分で全国の割合を示したデータは確認できません。

ただし、環境省の報告書には、令和3年度(2021年度)の調査票情報を使い、年間CO2排出量が少ない世帯と多い世帯の入浴状況を比較した分析があります。年間CO2排出量が少ないAクラスでは、入浴日のうちシャワーのみで済ませる割合が夏季62%、冬季30%でした。一方、年間CO2排出量が多いEクラスでは、夏季42%、冬季18%です。

この数字は国民全体の「シャワー派」「風呂派」の割合を示したものではありませんが、いずれの世帯群でも冬季はシャワーのみの割合が低く、季節によって入浴方法が変わる傾向を知る参考にはなります。

毎日シャワーだけでも清潔は保てる

シャワーでも、汗、皮脂、ほこりなどを洗い流せます。頭皮、脇、足、陰部など、汚れやにおいが気になりやすい部分を適切に洗えば、日常的な清潔を保つ目的は十分に果たせます。

浴槽に浸かること自体が、体の汚れを完全に落としてくれるわけではありません。反対に、湯船に入らなくても、シャワーで必要な部分を丁寧に洗えば不潔になるとは限りません。

むしろ注意したいのは洗いすぎです。熱いお湯を長時間浴びたり、洗浄力の強いせっけんで毎日全身を強くこすったりすると、皮膚の皮脂まで落としすぎて乾燥やかゆみにつながることがあります。乾燥しやすい人は、ぬるめのお湯を使い、ナイロンタオルなどで強くこすらず、入浴後に保湿するとよいでしょう。

たまに湯船に浸かる健康面のメリット

体全体を温めやすい

シャワーはお湯が当たった場所を中心に温めますが、浴槽では体の広い範囲が継続的にお湯に触れます。そのため、短時間のシャワーより体全体を温めやすく、寒い日や冷えを感じる日に向いています。

温かい湯に浸かると皮膚の血管が広がり、血流が増えます。温熱によって筋肉の緊張がゆるみ、肩、腰、脚などのこわばりが軽く感じられることもあります。

ただし、入浴は病気やけがを治す治療ではありません。痛みが続く場合や、腫れ、しびれ、発熱などを伴う場合は、入浴だけで対処せず医療機関へ相談してください。

気分転換やリラックスにつながる

浴槽に浸かる時間は、スマートフォンや家事から離れて休むきっかけになります。温かさや浮力によって体の力を抜きやすく、気分転換になる人もいるでしょう。

ただし、「湯船に浸かれば必ずストレスが解消する」「自律神経が整う」と断定できるものではありません。入浴を負担に感じる人が、健康のために無理をして続ける必要もありません。

照明を少し暗くする、浴室へスマートフォンを持ち込まない、深呼吸しながら短時間浸かるなど、自分が落ち着ける環境をつくることも大切です。

寝つきを整える助けになる可能性がある

人は眠る前に深部体温が下がっていく過程で、眠気が強くなると考えられています。就寝直前ではなく少し前に体を温め、その後に自然と熱が逃げる時間をつくると、寝つきやすくなる可能性があります。

温かいシャワーまたは入浴と睡眠の関係を調べた研究をまとめた系統的レビュー・メタ分析では、就寝の1~2時間前に温かい湯を利用することが、寝つくまでの時間や主観的な睡眠の質の改善と関連していました。

ただし、この研究は湯船だけでなく温かいシャワーも対象に含んでいます。そのため、睡眠のために必ず浴槽へ浸からなければならないわけではありません。シャワーでも体が温まり、その後ゆっくり過ごせるなら役立つ可能性があります。なお、研究数はまだ限られており、最適な温度や時間については今後の研究が必要とされています。

湯船に入る場合は、38~40℃程度のお湯で10分前後を目安にしましょう。

湯船に入るときの目安として、38~40℃程度のお湯、10分前後の入浴、就寝1~2時間前などを示した図解

湯船に浸かれば疲労が完全に取れるわけではない

入浴後に「疲れが取れた」と感じることはありますが、睡眠不足や過労そのものが解消されるわけではありません。体が温まって筋肉の張りが軽くなったり、気分が落ち着いたりすることで、主観的に楽になる面があると考えられます。

疲れているときほど長風呂をしたくなるかもしれませんが、強い倦怠感がある日は入浴自体が負担になることもあります。無理に湯船へ入らず、短いシャワーで済ませて早めに休む選択も必要です。

入浴には健康上の注意点もある

湯船は体を温める一方、湯温などによって循環器系に負担がかかることがあります。熱い湯に急に入ると血圧が変動しやすく、浴槽から立ち上がった際にめまいや立ちくらみが起こることもあります。

冬は、暖かい居室と脱衣所・浴室との温度差にも注意しましょう。

消費者庁では、高齢者の入浴中の溺水事故を防ぐため、入浴前に脱衣所や浴室を暖め、湯温は41℃以下、湯に浸かる時間は10分までを目安にするよう呼びかけています。特に冬は部屋間の温度差が大きくなりやすいため、注意が必要です。

冬の入浴で気をつけたいこととして、脱衣所や浴室の暖房、41℃以下の湯温、10分までの入浴などを示した図解

飲酒後の入浴も避けましょう。意識が低下した状態で浴槽へ入ると、眠り込んだり、転倒や溺水につながったりする危険があります。激しい運動の直後もすぐに入らず、呼吸や心拍が落ち着いてから水分を補給して入るほうが安全です。

心臓や血圧などの持病がある人や、入浴中にめまい・息苦しさなどを感じたことがある人は、長風呂や高温浴を避け、必要に応じて医師へ相談してください。

湯船に浸かる頻度は週何回がよい?

健康な人に対して「週に必ず何回」という統一基準はありません。毎日シャワーで不調がなく、寒さや寝つきにも困っていないなら、無理に湯船へ切り替える必要はないでしょう。

湯船を取り入れるなら、寒い日や体をしっかり温めたい日、ゆっくり休みたい日など、必要に応じて利用する方法があります。掃除や費用を負担に感じる場合は、無理に回数を増やす必要もありません。

季節で変えるのも現実的です。夏は短いシャワーを中心にし、冷房で体が冷えた日だけ湯船に浸かる。冬は湯船に浸かる日を増やすなど、生活や体調に合わせて調整できます。

掃除面ではシャワーのほうが負担を抑えやすい

浴槽にお湯を張ると、皮脂、角質、毛髪などが浴槽内に残ります。入浴後にお湯を抜き、浴槽を洗い、換気する作業が必要です。追いだき機能がある場合は、見えない配管内部にも汚れがたまるため、取扱説明書に従った定期的な手入れも欠かせません。

シャワーだけなら、浴槽内に皮脂汚れが広がりにくく、浴槽掃除の頻度を抑えやすいのが利点です。ただし、浴室全体が汚れないわけではありません。床や壁には、せっけんかす、皮脂、水あかが付きます。高温多湿の状態が続けばカビも生えやすくなるため、使用後は壁や床を軽く流し、換気扇を回して乾かしましょう。

湯船をたまにしか使わない家庭では、使用前に浴槽のほこりやぬめりを確認してください。長期間使っていない追いだき配管は、メーカーが案内する方法で洗浄してから使うと安心です。

湯船の日の掃除をラクにするコツ

浴槽の汚れは、乾いて固まる前に洗うと落としやすくなります。最後に入った人がお湯を抜き、浴槽が温かいうちにスポンジで洗う習慣にすると、強くこする手間を減らせます。

浴槽のふた、排水口、風呂いす、洗面器も湿ったまま放置せず、水切れのよい状態で乾かしましょう。浴室換気扇を使用する際は、一般的には浴室のドアや窓を閉め、ドアの給気口などから空気を取り込むことで効率よく換気できます。ただし、給気口がない浴室など設備によって適切な方法が異なるため、浴室換気設備の取扱説明書も確認してください。

ガス代・水道代はシャワーのほうが安い?

費用は、浴槽の大きさ、シャワーの流量、使用時間、給水温度、設定温度、給湯器の効率、地域の料金によって変わります。そのため、「必ずシャワーのほうが安い」とは限りません。

環境省は、毎分12リットルのシャワーを約17分使うと200リットルになり、一般的な浴槽一杯分に相当すると案内しています。一人がシャワーを5~10分程度で済ませるなら、浴槽へお湯を張るより使用水量を抑えやすいでしょう。一方、シャワーを20分以上出し続ければ、湯船より多くのお湯を使う可能性があります。

さらに、湯船の日も髪や体を洗うためにシャワーを使います。例えば、浴槽に180リットル張り、毎分10リットルのシャワーを5分使えば、合計は230リットルです。シャワーだけを10分使う場合は100リットルなので、この条件では湯船の日の使用量は約2.3倍になります。

シャワーを毎分12リットル使用した場合の使用水量と、浴槽1杯約200リットルを比較した図解

ただし、家族が同じ浴槽のお湯を続けて利用する場合は、一人当たりの負担が下がります。家族全員が長いシャワーを浴びるより、浴槽のお湯を共有し、洗うときだけ短時間シャワーを使うほうが節約できる場合もあります。

1回の入浴で増える費用の試算例

以下は、料金や使用水量を仮定した計算例です。

水道代は、追加で使った水量に、水道と下水道の従量単価を掛けて考えます。仮にシャワーだけの日より100リットル多く使い、上下水道の合計単価を1立方メートル当たり300円とすると、100リットルは0.1立方メートルなので約30円です。

ガス代は、水量と温度差、給湯器の効率、ガス料金で変わります。例えば、15℃の水を40℃まで25℃上げる場合、100リットルを追加で温めるには約10.5メガジュールの熱が必要です。給湯効率を80%、都市ガス料金を1立方メートル当たり200円、発熱量を45メガジュールと仮定すると、ガス代は約58円になります。

この例では、シャワーだけの日より100リットル多くお湯を使うと、水道・下水道とガスを合わせて約88円増えます。月8回なら約700円、月30回なら約2,600円です。

ただし、これは条件を置いた試算にすぎません。実際の料金は自治体の上下水道料金、契約中のガス料金、給湯器の種類によって変わります。LPガス、電気温水器、ヒートポンプ給湯器では結果も異なるため、正確に知りたい場合は検針票や料金表を確認してください。

節約しながら湯船を楽しむ方法

必要以上にお湯を張らず、無理なく浸かれる範囲の湯量にします。家族で利用する場合は、入浴の間隔を空けず、浴槽のふたを閉めて保温すると追いだきの回数を減らせます。

シャワーは、髪や体を洗っている間に止めるだけでも使用量を抑えられます。

湯船に浸かる日を週末や寒い日に限定するのも有効です。毎日ではなくても、必要な日に取り入れれば、体を温める利点を得ながら掃除と費用の負担を抑えられます。

まとめ

毎日シャワーだけでも、必要な部分を適切に洗えば、日常的な清潔を保つことはできます。湯船に毎日浸からなければ清潔を保てないというわけではありません。短時間で済み、浴槽掃除や光熱水費を抑えやすいのがシャワーの利点です。

一方、湯船には、体全体を温めやすい、筋肉のこわばりを和らげやすい、落ち着いて休む時間をつくりやすいといった良さがあります。寒い日や体を温めたい日などに、無理のない範囲で取り入れるとよいでしょう。

大切なのは、「毎日入らなければならない」と義務にしないことです。ぬるめのお湯に短時間入り、飲酒後や体調不良時は避けるなど、安全を優先してください。

シャワーと湯船のどちらか一方を正解と考えず、健康、時間、掃除、費用のバランスで選ぶのが現実的です。

引用・参考資料

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