洗濯物は裏返して洗った方がいい?汚れ落ち・傷み・洗濯ネットとの違いを解説

洗濯物を洗濯機に入れるとき、「服は裏返して洗った方がいい」と聞いたことがある人も多いでしょう。実際、Tシャツやズボンを脱いだときに裏返しになったまま洗っている家庭もあれば、わざわざ表に戻してから洗う家庭もあります。

結論からいうと、洗濯物は一律に裏返すのではなく、汚れの場所や守りたい面によって表裏を使い分けるのがおすすめです。
汗や皮脂が付きやすい肌着やTシャツ、表面の色やプリントを守りたい衣類は裏返して洗うのが向いています。一方、泥や食べこぼしなど表側に目立つ汚れがある場合は、表のまま洗う方がよいこともあります。

大切なのは「裏返せば必ず汚れがよく落ちる」と考えるのではなく、どこが汚れているか、どの面を摩擦から守りたいかで使い分けることです。

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洗濯物は裏返して洗った方がいい?

普段着のTシャツ、肌着、パジャマ、スポーツウェアなどは、洗濯表示に反しない範囲で裏返して洗う方法があります。これらは肌に直接触れるため、内側に汗などが付きやすく、肌着には皮脂汚れも付着します。

また、濃い色の衣類やプリントTシャツなど、表面を保護したい衣類でも裏返し洗いが選択肢になります。

消費者庁は、洗濯表示の付記用語の例として「裏返しにして洗う」を挙げています。衣類にこの指示がある場合は、その衣類の素材や加工に適した取扱方法として、表示に従いましょう。

ただし、裏返し洗いはすべての衣類に必要な作業ではありません。裏返した衣類は、干した後や着る前に表へ戻す手間もかかります。タオルやシーツなど表裏の差が小さいものまで、毎回わざわざ裏返す必要はないでしょう。

裏返すと汚れが落ちやすくなる?

裏返した方が汚れが落ちやすいかどうかは、汚れが付いている場所によって変わります。 肌着やTシャツのように内側の汚れが気になる場合は、裏返すことでその面を外側にできます。

洗濯物を裏返して洗う場合と表のまま洗う場合を、汗・皮脂汚れや泥・食べこぼしなど汚れの場所別に比較した図

洗濯では洗剤などの化学的な作用だけでなく、衣類に加わる機械的な作用も汚れ落ちに関係します。白岩治己氏の研究でも、家庭用洗濯機について機械エネルギーと洗浄率、布のほつれとの関係が検討されています。ただし、この研究は裏返し洗いの効果を直接比較したものではありません。

したがって、汗や皮脂など内側の汚れが中心なら、裏返し洗いを試す価値があります。一方、ズボンのひざに泥が付いた、シャツの表側に料理をこぼしたといった場合は、目立つ汚れを外側にしておく方が合理的です。

なお、頑固な汚れは裏返すだけでは十分に落ちないことがあります。衣類の洗濯表示を確認したうえで、汚れに適した前処理や部分洗いも検討しましょう。

裏返すと生地へのダメージは大きくなる?

一般的な衣類では、裏返すことで表面へのダメージを増やすというより、見える面を保護する目的で使われます。

洗濯中は衣類同士が触れたり、洗濯機の内部で機械的な作用を受けたりします。FTCが裏返し洗いを「布地の表面を保護する」方法として定義していることからも、色柄や表面の風合いを守りたい衣類では有効な選択肢といえます。

特に、濃色の衣類、プリントや刺しゅうがある衣類、毛羽立ちが目立ちやすい衣類では、表側を内側にすることで、見える面が直接こすれる機会を減らせます。

ただし、衣類全体への摩擦がなくなるわけではありません。裏返せば、今度は裏側が外側になります。裏側に繊細な加工や起毛がある衣類では、必ずしも裏返す方がよいとは限りません。衣類に「裏返しにして洗う」などの表示があれば、それを優先してください。

洗濯ネットを使えば裏返さなくてもいい?

洗濯ネットと裏返し洗いは似ていますが、役割は同じではありません。

裏返し洗いと洗濯ネットの役割の違いと、裏返した衣類を洗濯ネットに入れて併用する方法を比較した図

裏返し洗いは主に「衣類のどちらの面を外側にするか」を変える方法です。一方、洗濯ネットは衣類をまとめ、他の衣類との絡まりや強い機械作用を抑える目的で使われます。消費者庁は「洗濯ネット使用」も洗濯表示の付記用語の例として挙げ、日本電機工業会もデリケートな衣類には洗濯用ネットを使うよう案内しています。

さらに、白岩氏が新水流式洗濯機を使って行った研究では、洗濯ネットを使用すると、ネットを使用しない場合より布に加わる機械エネルギーが小さくなることが示されています。その一方で、洗浄率も低くなる結果が報告されています。ただし、これは特定の洗濯機と条件による実験であり、現在のすべての洗濯機で同じ程度の差が出るという意味ではありません。

つまり、洗濯ネットは衣類への機械作用を弱める方向に働く一方、汚れ落ちとのバランスも考える必要があります。

プリントや装飾を守りたい衣類なら「裏返してネットに入れる」という併用もできます。ただし、汚れがひどい衣類を何でもネットへ入れればよいわけではありません。洗濯ネットの使用が指定されている衣類や、絡まり・型崩れを避けたい衣類を中心に使いましょう。

裏返して洗った方がよい衣類

裏返し洗いを特に検討したいのは、次のような衣類です。

  • Tシャツや肌着など、肌に直接触れる衣類
  • パジャマやスポーツウェアなど、汗を多く吸いやすい衣類
  • 黒や紺など、表面を保護したい濃色衣類
  • プリント、刺しゅう、装飾などが表面にある衣類
  • 洗濯表示に「裏返しにして洗う」と書かれている衣類

逆に、泥や食べこぼしなど表側の汚れが目立つ衣類は、表のまま洗う、あるいは汚れた部分を前処理してから洗う方法があります。

裏返すか迷ったときの判断方法

裏返すべきか迷ったときは、まず洗濯表示と付記用語を確認しましょう。

「裏返しにして洗う」「洗濯ネット使用」などの記載があれば、その指示を優先します。特に指定がなければ、次に汚れの位置を確認します。

肌に触れる内側についた汗や皮脂が気になる衣類は裏返し、泥や食べこぼしなど表側に目立つ汚れがある場合は、その部分を前処理してから洗います。

さらに、プリントや刺しゅうなど摩擦から守りたい部分がある場合も、裏返し洗いを検討するとよいでしょう。

つまり、「洗濯表示→汚れの位置→守りたい面」の順に確認すると判断しやすくなります。

なお、衣類を洗濯機に入れる前には、ポケットの中身も確認しましょう。硬貨やライターなどが残ったまま洗うと、衣類や洗濯機を傷める原因になることがあります。また、ティッシュなどの紙類は、細かくちぎれて洗濯物に付着することがあります。

衣類別の具体的な判断例

白いTシャツで表側に目立つ汚れがなく、内側の汗や皮脂が気になる場合は、裏返して洗う方法があります。一方、ズボンのひざに泥が付いている場合は、泥をできるだけ落とし、必要に応じて前処理したうえで、汚れた面を外側にして洗う方法があります。

また、プリントTシャツのように表面のデザインを守りたい衣類は、裏返して洗うことで、プリント部分が他の衣類などと直接こすれる機会を減らせます。洗濯ネットの使用が指定されている場合や、絡まり・型崩れが気になる場合は、裏返したうえでネットに入れる方法もあります。

このように、同じ衣類でも、汚れの場所や守りたい部分によって適した向きは変わります。

縦型とドラム式で違いはある?

縦型だから必ず裏返す、ドラム式だから裏返さなくてよい、という明確な区別はありません。裏返し洗いの基本的な考え方は、どちらの方式でも同じです。

一方、洗浄方式や衣類への作用は同じではありません。白岩氏の研究では、家庭用ドラム式と新水流式洗濯機について、機械エネルギーと汚れの除去、布のほつれとの関係が比較されており、洗濯機の方式や洗濯条件によって衣類への機械作用のかかり方が異なることが示されています。

また、和洋女子大学の研究では、パルセーター式とドラム式を一定条件で比較した結果、使用した機種では、ドラム式の方が洗濯じわが発生しにくいという結果でした。ただし、これは「裏返し洗いの効果」を直接比較した研究ではありません。

そのため、洗濯機の種類よりも、衣類の表示や素材、汚れの場所、守りたい加工の有無を優先して判断しましょう。

裏返したまま干しても大丈夫?

洗濯後に裏返したまま干しても、基本的には問題ありません。ただし、日陰干しや平干しなどが指定されている衣類もあるため、乾燥方法についても洗濯表示を優先してください。

裏返して干した場合の乾きやすさや型崩れへの影響については、衣類の素材や形状によっても異なります。詳しくは「洗濯物は裏返したまま干した方が早く乾く?乾燥時間や型崩れへの影響を解説」で解説します。

まとめ

洗濯物は、すべて裏返して洗う必要はありません。

汗や皮脂が付きやすい肌着やTシャツ、表面の色柄やプリントを守りたい衣類では、裏返し洗いが役立ちます。一方、泥や食べこぼしなど表側の汚れが目立つ場合は、汚れた面を外側にするか、前処理してから洗う方がよいでしょう。

洗濯ネットは衣類への機械作用を抑えるのに役立ちますが、研究では条件によって洗浄率が低くなることも示されています。必要な衣類に適切に使い、裏返し洗いと使い分けることが大切です。

縦型とドラム式では衣類への作用に違いがありますが、裏返すべきかどうかは洗濯機の種類だけで決まりません。最も優先したいのは衣類の洗濯表示です。「裏返しにして洗う」「洗濯ネット使用」などの記載があれば、それに従いながら、汚れの位置と守りたい面を考えて洗い方を選びましょう。

引用・参考資料

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