水道台に落としたコンタクトレンズは使える?洗浄・消毒して再利用できるか解説

水道台に落としたコンタクトレンズを再使用してよいか悩む場面を表したアイキャッチ画像

コンタクトレンズを着け外しする際に、水道台(洗面台やキッチンのシンク)へ落としてしまうことがあります。見た目に汚れが付いていなければ、「洗えばもう一度使えるのでは」と考えるかもしれません。

しかし、水道台には水滴や皮脂、せっけんかすなどが残っているほか、目に見えない細菌や微生物が付着している可能性があります。落としたレンズをそのまま装用するのは避け、レンズの種類や落とした場所の状態に応じて対処することが大切です。

この記事では、水道台に落としたコンタクトレンズは再使用できるのか、洗浄・消毒すれば使える場合があるのか、汚染されたレンズを装用するとどのようなリスクがあるのかを解説します。

目次

結論:水道台に落としたレンズをそのまま使うのは避ける

水道台に落とした再使用タイプのソフトコンタクトレンズは、軽くすすいだだけで装用してはいけません。再使用する場合は、製品で指定された方法に従って、こすり洗い・すすぎ・消毒を行う必要があります。1日使い捨てのソフトコンタクトレンズは、洗浄・消毒して再使用する製品ではないため、新しいレンズに交換しましょう。

2週間・1か月交換タイプなどの再使用できるソフトレンズも、落とした場所によっては廃棄する方が安全です。比較的清潔で乾いた場所に一瞬触れた場合と、濡れた洗面ボウルや排水口付近、ぬめり・汚れのある場所に落ちた場合では、汚染のリスクが異なります。

米国疾病予防管理センター(CDC)は、水がレンズに触れた場合、レンズを捨てるか、再使用する前に一晩かけて洗浄・消毒するよう案内しています。ただし、適切にケアしても、付着した微生物をすべて除去できるとは限りません。水道台そのものに触れた場合は、水だけがレンズに付着した場合よりも汚染の可能性が高いため、より慎重な判断が必要です。

ハードコンタクトレンズは、水道台に落としたからといって、必ずしも廃棄する必要があるとは限りません。ただし、そのまますぐに装用せず、使用しているレンズに指定された方法で十分に洗浄し、傷や欠け、変形、落ちない汚れがないか確認してください。汚れのひどい場所に落とした場合や、適切なケア方法が分からない場合は、自己判断で装用せず、処方を受けた眼科や購入店へ相談しましょう。

水道台に落としたレンズが衛生的とはいえない理由

水道台には目に見えない汚れや微生物が残りやすい

水道台は水で頻繁に流されていても、無菌ではありません。手や顔から落ちた皮脂、化粧品、歯磨き粉、せっけんかす、ほこりなどが残り、湿った環境では細菌やカビなどの微生物が増えることもあります。見た目がきれいでも、コンタクトレンズを直接置いてよいほど清潔とは限りません。

なかでも注意したいのが、土やほこり、水のある環境などに存在するアカントアメーバです。PMDAは、アカントアメーバが室内のほこりや洗面台の周囲、汚れたレンズケースなどに存在する場合があると説明しています。レンズに付着したアカントアメーバが角膜の傷から侵入すると、重い角膜炎を起こすおそれがあります。

また、水道水は飲み水として安全に管理されていますが、無菌ではありません。ソフトコンタクトレンズを水道水で洗ったり、水に浸したりするのは避けてください。

水道台に落ちたコンタクトレンズに水滴、せっけんかす、ほこり、化粧品汚れ、細菌やアカントアメーバなどが付着する衛生リスクを示した図

コンタクトレンズは角膜に直接触れる

コンタクトレンズは角膜に直接触れる高度管理医療機器です。水道台に落としたレンズには、目に見えなくても細菌などの微生物が付着している可能性があるため、そのまま装用しないでください。

また、落とした際にレンズへ傷や破れ、欠け、変形などが生じていないか確認することも大切です。異常のあるレンズは角膜を傷つけるおそれがあり、微生物が付着している場合には感染のリスクも高まるため、使用しないようにしましょう。

洗浄液で洗って保存液に入れれば消毒される?

洗浄・すすぎ・消毒・保存は役割が違う

コンタクトレンズ用のケア用品は、製品によって役割が異なります。1本で洗浄・すすぎ・消毒・保存まで行えるものもありますが、保存に使える液体すべてに消毒効果があるわけではありません。

また、生理食塩水や装着液、目薬には、基本的にレンズを消毒する働きはありません。これらですすいだり浸したりするだけでは、十分な消毒にはならないため注意が必要です。

再使用できるソフトレンズは、使用しているケア用品の説明書に従って、こすり洗い・すすぎ・消毒を行います。こすり洗いには指定された新しいケア液を使い、その後も指定された方法ですすぎ、清潔なケースに新しい消毒液を入れて、決められた時間以上浸してください。

レンズを入れるケースにヌメリや膜状の汚れがある場合は、レンズだけでなくケースの衛生状態にも注意が必要です。ケースのヌメリの原因や、掃除・交換の判断基準については、「コンタクトケースにヌメリがあるときの掃除・交換の判断基準」で詳しく解説しています。

コンタクトレンズの洗浄、すすぎ、消毒、保存の役割の違いを示した図

保存液に入れるだけでは不十分なことがある

製品で指定された時間しっかり消毒しても、レンズが完全に無菌になるわけではありません。PMDAによると、アカントアメーバがソフトレンズに付着した場合、ソフトレンズ用消毒剤に浸すだけでは完全に消毒できないため、事前のこすり洗いで汚れや微生物をできるだけ取り除くことが重要です。

また、過酸化水素タイプの消毒剤は専用ケースを使用し、中和が完了するまで規定時間待つ必要があります。専用ケース以外を使ったり、中和が終わる前にレンズを装用したりすると、強い刺激や角膜障害を起こすおそれがあります。水道台へ落としたからといって、消毒時間を自己判断で延長したり、複数の薬剤を混ぜたりしてはいけません。

熱湯、アルコール、台所用洗剤、塩素系漂白剤などを自己判断で使用するのも避けてください。レンズの変形や変質、薬剤の残留によって目を傷めるおそれがあります。必ず、そのレンズに使用できるケア用品を説明書どおりに使用しましょう。

ソフトタイプとハードタイプで対処は違う?

ワンデーソフト、再使用型ソフト、ハードコンタクトレンズを種類別に、水道台へ落とした場合の対処方法を比較した図

1日使い捨てソフトレンズは廃棄する

1日使い捨てタイプは、一度外したら廃棄することを前提としたレンズです。水道台へ落としたレンズを洗浄・消毒して再装用することはせず、新しいレンズに交換してください。

片方だけ落とした場合は、落としたレンズだけ新しいものに交換すればよく、左右とも捨てる必要はありません。予備がなければ、無理に再使用せず眼鏡で過ごしましょう。

2週間・1か月交換などのソフトレンズも廃棄が最も安全

2週間・1か月交換などの再使用タイプは、毎日の洗浄・消毒を前提としています。そのため、製品で指定されたケア用品を使い、こすり洗い・すすぎ・規定時間の消毒を行うことで再使用できる場合もあります。ただし、適切に消毒しても、落下による汚染のリスクを完全になくせるわけではありません。

濡れた水道台や排水口の近く、ぬめりや目立つ汚れのある場所に落とした場合は、交換日前でも廃棄する方が安全です。乾いた比較的清潔な場所に一瞬落とした場合に再使用を検討するなら、製品の説明書に従って、こすり洗いから消毒までのケアを最初から行ってください。傷、破れ、変形、落ちない汚れがある場合は使用しないようにしましょう。

ハードレンズは専用の方法で十分に洗浄する

ハードコンタクトレンズは、ソフトレンズとは材質やケア方法が異なります。日本眼科医会は、一般的なハードレンズでは十分な洗浄が基本と説明しています。使用しているレンズに指定されたケア用品を使って丁寧にこすり洗いし、指定された方法ですすいで保存してください。

一部のハードレンズでは、専用のケア用品でこすり洗いした後、水道水ですすぐ手順が指定されているものもあります。ただし、水道水ですすぐだけでは洗浄の代わりにはなりません。また、すべてのハードレンズに共通する方法ではないため、レンズやケア用品の説明書に従ってください。排水口付近やひどく汚れた場所に落とした場合や、傷・欠け・変形などがある場合は、そのまま装用せず、判断に迷ったら眼科へ相談しましょう。

汚染されたレンズを使うとどうなる?

水道台に落としたレンズを装用すると、ゴロゴロする、しみる、涙が出るなどの違和感が現れることがあります。細菌などによる角膜感染症を起こした場合は、目の痛みや充血、目やに、かすみ、視力低下などが現れることもあります。

コンタクトレンズを装用していて、こうした異常を感じた場合は、そのまま使い続けないことが大切です。レンズを外しても痛みや見えにくさなどが続く場合は、早めに眼科を受診してください。

角膜感染症が重症化すると、治療後も角膜の濁りが残り、視力に影響することがあります。特にアカントアメーバによる角膜感染症は治療が難しく、長期の治療が必要になることもあります。水道台に落としたレンズを一度使っただけで必ず感染するわけではありませんが、異常があるレンズや汚染の可能性が高いレンズを無理に再使用するのは避けましょう。

装用後に異常が出たときの対処

落としたレンズをすでに装用してしまい、痛み、充血、異物感、まぶしさ、涙、目やに、見えにくさなどの症状がある場合は、すぐにレンズを外してください。症状がある間はコンタクトレンズを再装用せず、眼鏡で過ごしましょう。

症状が続く場合や、痛み・充血・かすみなどが強い場合は、早めに眼科を受診してください。特に、急な視力低下や強い痛みがある場合は、翌日まで様子を見ず、できるだけ早く受診しましょう。市販の目薬で症状だけを抑えて、コンタクトレンズの使用を続けるのは避けてください。

受診する際は、水道台に落としたレンズを装用したことや、水道水で洗ったかどうか、使用したケア用品などを伝えると診断の参考になります。

水道台へ落とさないための予防方法

コンタクトレンズを扱う前に、排水口を栓やカバーでふさぎ、水道台の周りにある水滴を拭いておくと、レンズを落としたり排水口へ流したりするのを防ぎやすくなります。手を洗った後は、毛羽の出にくい清潔なタオルなどで十分に乾かし、濡れた指でレンズを扱わないようにしましょう。

できれば水道台の真上を避け、清潔で乾いた場所でレンズを着け外しするのもおすすめです。左右のレンズは片方ずつ扱うと、落下や取り違えを防ぎやすくなります。外出時は予備のレンズや眼鏡を用意しておくと、レンズを落としたときに無理に再使用せずに済みます。

まとめ

水道台に落としたコンタクトレンズは、見た目がきれいでも、そのまま装用しないでください。1日使い捨てのソフトレンズは廃棄し、2週間・1か月交換などの再使用タイプも、濡れた場所や汚れた場所に落ちた場合は新しいレンズに交換する方が安全です。

再使用できるソフトレンズは、製品で指定された方法でこすり洗い・すすぎ・消毒を行うことで再使用できる場合もあります。ただし、適切に消毒しても、落下による汚染のリスクを完全になくせるわけではありません。生理食塩水や装着液、目薬などに浸すだけでは消毒にはならないため注意しましょう。

ハードレンズは、使用しているレンズに指定された方法で十分に洗浄します。傷や欠け、変形、落ちない汚れがある場合や、汚れのひどい場所に落とした場合は、そのまま装用せず、判断に迷ったら眼科へ相談してください。

コンタクトレンズは目に直接触れる医療機器です。「たぶん大丈夫」と無理に再使用せず、安全に使えるか判断できない場合は、新しいレンズに交換するか、眼鏡を使用しましょう。

引用・参考資料

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