冷凍庫は詰め込んだ方が節電になる?入れる量の目安と冷蔵庫との違いを解説

「冷蔵庫は詰め込みすぎない方がよい」と聞いたことがあると、冷凍庫も同じだと思うかもしれません。しかし、冷蔵室と冷凍室では、節電につながる使い方が少し異なります。

結論からいうと、冷凍庫はある程度しっかり詰めた方が、効率よく低温を保ちやすくなります。農林水産省も、冷凍室は隙間を少なくし、8~9割程度詰めることが望ましいと案内しています。一方、冷蔵室は冷気を循環させる必要があるため、詰め込みすぎは逆効果です。

ただし、冷凍庫も「入るだけ押し込めばよい」というわけではありません。扉が閉まりにくくなったり、冷気の吹き出し口をふさいだりするほど詰めるのは避ける必要があります。

この記事では、冷凍庫を詰めるとなぜ節電になるのか、保存する量の目安、冷蔵庫との違い、空きが多いときの対処法まで解説します。

目次

冷凍庫は詰め込んだ方が節電になる

冷凍庫は、ある程度食品が入っている方が庫内の温度を保ちやすくなります。

理由は、すでに凍っている食品そのものが「保冷剤」のような役割を果たすためです。扉を開けると庫内の冷たい空気の一部が外へ出て、代わりに室内の暖かい空気が入り込みます。その後、冷凍庫は入り込んだ空気を再び冷やさなければなりません。

しかし、庫内に凍った食品が多ければ、それらが冷たさを蓄えているため、扉を開閉したときの温度変化を小さくしやすくなります。農林水産省は、凍った食品同士がお互いを冷やし合うため、冷凍室内の隙間を少なくすることを推奨しています。

そのため、「冷凍庫は空いている方が冷気が回って節電になる」という考え方は、少なくとも家庭用冷凍庫の一般的な使い方としては適切ではありません。

冷凍庫に入れる量は8~9割程度が目安

では、冷凍庫にはどの程度入れておけばよいのでしょうか。

実用上の目安として分かりやすいのが、容量の8~9割程度です。農林水産省も、冷凍室は8~9割くらい詰めることが望ましいとしています。

冷凍室の隙間を少なくすると、凍った食品自体が保冷剤の役目を果たし、お互いを冷やし合います。

反対に、ほぼ空の状態では庫内を占める空気の量が多く、扉を開けた際に外気の影響を受けやすくなります。食品が少なければ、冷たさを蓄えておく物も少なくなります。

ただし、8~9割という数字は「絶対に守らなければならない上限・下限」ではありません。冷凍庫の形状や冷却方式、吹き出し口の位置などは機種によって異なります。食品を無理に押し込み、吹き出し口をふさいだり、引き出しや扉が完全に閉まらなくなったりすれば、かえって冷却効率を下げる原因になります。

まずは取扱説明書の注意事項を優先し、その範囲で隙間を少なめにするのがよいでしょう。

ぎゅうぎゅうに詰める必要はない

「詰めた方が節電になる」とはいっても、100%近くまで無理に詰める必要はありません。

特に、袋物を重ねすぎて扉のパッキンに挟んだり、引き出しが最後まで閉まらなくなったりする状態は避けましょう。わずかな隙間から暖かい空気が入り続ければ、冷凍庫は温度を下げるために余計な運転をすることになります。

また、どこに何があるか分からないほど詰めると、食品を探すために扉を長時間開けることにもつながります。節電を考えるなら「たくさん入れる」だけでなく、「すぐ取り出せるように整理する」ことも大切です。

冷蔵室と冷凍室では詰め方が違う

冷蔵室は7割以下を目安に余白を残し、冷凍室は8~9割程度を目安に詰める違いを示した図

冷凍室は多めに入れた方がよい一方、冷蔵室は逆です。

冷蔵室は、庫内の冷気を循環させて食品を冷やします。食品を詰め込みすぎると冷気の流れが妨げられ、冷えにくい場所ができたり、庫内の温度が均一になりにくくなったりします。

消費者庁は、冷蔵庫に保存する食材を7割以下にすることを整理整頓の目安として示しています。また、資源エネルギー庁では、冷蔵庫に物を詰め込んだ場合と半分にした場合を比較し、半分にすると年間43.84kWhの省エネになるという試算を紹介しています。

このように、同じ冷蔵庫の中でも、冷蔵室と冷凍室では適した詰め方が異なります。

量の目安を簡単に整理すると

家庭で迷ったときは、冷蔵室と冷凍室を次のように使い分けると分かりやすいです。

・冷蔵室:7割以下を目安にし、冷気が通る余白を残す
・冷凍室:8~9割程度を目安にし、隙間を少なくする
・冷凍室が空いているとき:保冷剤などで隙間を補う
・どちらも共通:扉や引き出しがきちんと閉まる範囲にする

ただし、8~9割や7割以下という数字はあくまで目安です。実際の収納量は、扉や引き出しが確実に閉まることや、使用している機種の取扱説明書の注意事項を優先して調整しましょう。

冷凍庫に空きが多い場合は保冷剤を入れてもよい

一人暮らしや買い置きをあまりしない家庭では、冷凍庫を8~9割まで食品で埋めるのが難しいこともあります。

農林水産省は、冷凍室に隙間がある場合は保冷剤などを活用する方法を紹介しています。普段から冷凍庫に保管している保冷剤があれば、空いた場所に入れておくことで、食品と同様に冷たさを蓄える役割が期待できます。停電時や買い物時の持ち運びにも使えるため、必要な分を常備しておくと便利です。

ただし、「節電のためだけに大量の常温の水や保冷剤を入れて凍らせる」必要はありません。新しく入れた物を凍らせるには、その分だけ冷却エネルギーが必要です。空きスペースを埋めるなら、普段から使う保冷剤や、すでに凍っている食品を無理のない範囲で活用しましょう。

新しい食品を一度に大量に入れると冷却運転が増えやすい

冷凍庫は多く入っている方が温度を維持しやすいものの、常温や冷蔵状態の食品を大量に追加した直後は別です。

冷凍庫は、新しく入れた食品から熱を奪い、冷凍状態まで温度を下げる必要があります。そのため、まとめ買いした肉や作り置き料理などを一度に大量に入れれば、一時的に冷却運転が増える可能性があります。

「冷凍庫を満たせば満たすほど、その瞬間から必ず節電になる」というわけではありません。節電上のメリットは、すでに凍っている物が多い状態で庫内温度を維持するときに得やすいと考えると分かりやすいでしょう。

作り置きを冷凍する場合は、粗熱をできるだけ早く取り、速やかに冷凍しましょう。熱い状態の食品を入れると庫内温度が上がり、周囲の冷凍食品の温度にも影響する可能性があります。浅い容器などに小分けすると、冷めるまでの時間を短くできます。

節電するなら扉を開けている時間も短くする

冷凍庫の食品を種類ごとに分けて立てて収納し、保冷剤も活用する整理方法を示した図

冷凍庫を8~9割程度に保っていても、扉を長時間開けていれば冷気は逃げてしまいます。

農林水産省は、冷凍食品の保存では扉の開閉時間をできるだけ短くすることを勧めています。資源エネルギー庁も、冷蔵庫について、扉を開けている時間が20秒の場合と10秒の場合を比較し、年間6.10kWhの省エネになるという試算を示しています。

冷凍庫でも、必要な物を探している間に外気が入り込む点は同じです。

必要な食品をすぐ取り出せるように整理しておくことも、扉を開けている時間の短縮につながります。

冷凍庫の節電では設定温度や設置場所にも注意

節電は、食品の量だけで決まるわけではありません。

冷蔵庫は庫内を冷やす際に発生した熱を、上部や側面、背面などから放出します。周囲に十分な隙間がないと放熱しにくくなり、効率が落ちることがあります。必要な設置間隔は機種によって異なるため、取扱説明書に従いましょう。

また、設定温度を必要以上に低くしていると、消費電力量が増える場合があります。季節や食品の保存状態を確認しながら適切な設定にすることも大切です。

冷凍食品は一般に-18℃以下での保存が品質維持の目安とされており、農林水産省も冷凍食品について-18℃以下で保存するよう案内しています。節電のために温度を上げすぎ、食品の適切な保存温度を保てなくなるのは避けましょう。

まとめ

冷凍庫は、空に近い状態よりも、ある程度食品を詰めた方が節電につながります。凍った食品そのものが保冷剤のように働き、扉を開けたときの温度変化を小さくしやすいためです。

目安は8~9割程度。空きが多い場合は保冷剤を利用する方法もあります。ただし、吹き出し口をふさいだり、扉が閉まりにくくなるほど詰めたりするのは避けてください。

一方、冷蔵室は冷気を循環させる必要があるため、7割以下を目安に余裕を持たせるのがおすすめです。

冷蔵室はゆったり、冷凍室はしっかり」と覚えておくと整理しやすいでしょう。食品の量だけでなく、扉を開ける時間を短くする、庫内を整理する、適切な設置間隔と温度設定を守るといった基本も組み合わせることで、無理なく節電につなげられます。

引用元・参考資料

目次