バイトを急に休んだら減給された!病欠や当日欠勤で給料・評価を下げるのは違法なのでは!?

バイトを急に休んで減給された女性が、スマホと給与明細を確認しているイメージ

「急に体調を崩してバイトを休んだら給料を減らされた」「当日欠勤したら罰金を引かれた」。このような場合、すべての減額が認められるわけではありません。

欠勤した時間分の賃金が支払われないこと、懲戒として減給されること、会社から損害賠償を請求されることは、それぞれ別の問題です。

この記事では、アルバイトが急に休んだとき、どこまで給料や評価を下げられるのか、店に損害が出た場合はどうなるのかを解説します。

目次

バイトを急に休んだら減給されても仕方がない?

まず、欠勤時間分が無給になる場合と、懲戒として減給される場合の違いを整理します。

同じ「給料が減った」という結果でも、理由によって扱いは異なります。

急な欠勤で給料が減った場合の「欠勤時間分の無給」と「懲戒としての減給」の違いを比較した図

休んだ時間分の給料が出ない場合

時給制のアルバイトが予定していた時間に働かなかった場合、その時間分の賃金が支払われないこと自体は、懲戒としての「減給」とは別です。

たとえば時給1,200円で5時間働く予定だった日に欠勤し、その日の6,000円が支払われないケースです。年次有給休暇や会社独自の有給休暇が適用される場合などを除き、働かなかった時間が無給になることはあります。

一方、実際に働いた時間分まで減らすのであれば話は別です。労働基準法24条は、賃金を原則として全額支払うことを定めています。

欠勤とは別に「罰」として給料を減らされた場合

「欠勤した5時間分が無給」ではなく、「当日欠勤した罰としてさらに5,000円引く」といった場合は、減給の制裁が問題になります。

会社が自由に罰金額を決められるわけではありません。懲戒として減給するには根拠となる規定が必要で、労働基準法91条による金額の上限もあります。

労働基準法91条では、1回の減給額は平均賃金1日分の半額まで、複数の減給がある場合でも一賃金支払期の賃金総額の10分の1までと上限が定められています。

病欠を理由に勤務評価を下げられた場合

私傷病による欠勤が勤務評価に影響したからといって、それだけで直ちに違法になるとは限りません。就業規則や評価基準で勤怠が評価項目として定められている場合、欠勤状況が評価に反映されることはあります。

ただし、年次有給休暇を取得した日を欠勤扱いにし、賞与などの査定で不利益に評価することは問題です。厚生労働省は、年休取得を賞与査定のマイナス要素として扱うことは認められないとしています。

欠勤したら皆勤手当がなくなった場合

会社に皆勤手当がある場合、1回欠勤したことで手当が支給されなくなることがあります。

たとえば「1か月無欠勤の場合に1万円を支給する」など、あらかじめ支給条件が定められており、支給条件自体に問題がなく、通常の欠勤によってその条件を満たさなくなった場合、皆勤手当が支給されなくても原則として違法な減給には当たりません。これは、すでに発生した賃金を罰として減らすのではなく、皆勤手当の支給条件を満たさなかったためです。

一方、年次有給休暇を取得した日を欠勤扱いにして皆勤手当を減額・不支給とすることは問題があります。厚生労働省も、精皆勤手当の算定で年休取得日を欠勤として扱うことは不利益取扱いに当たるとしています。

評価が下がって時給まで下げられた場合

評価が下がったからといって、会社が当然に時給を自由に下げられるわけではありません。

労働条件の変更は労使の合意が原則で、就業規則を変更して不利益な条件に変える場合も、変更内容の合理性や労働者への周知などが必要です。

ただし、契約や就業規則に評価によって時給が変動する制度があらかじめ定められている場合には、その制度の内容や運用によっては、評価結果として時給が下がることもあり得ます。最低賃金を下回ることはできません。

休んだ理由によって減給や懲戒の扱いは変わる?

突然の腹痛や頭痛で休んだ場合

一般的な病気休暇は法律で一律に義務付けられたものではなく、企業が任意に設ける法定外休暇です。そのため、年休や有給の病気休暇を利用しなければ、欠勤時間が無給になる場合があります。

一方、突然の病気を理由に懲戒する場合は、その事情も考慮されます。労働契約法15条では、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない懲戒は無効とされています。

会社から「感染防止のため休んで」と言われた場合

本人が体調不良を理由に自主的に休む場合と、会社から休むよう指示された場合では扱いが異なることがあります。

労働基準法26条では、使用者の責任による休業の場合、会社は平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならないとされています。

たとえば、発熱などの症状があることだけを理由に、会社が自主的な判断で一律に休ませる場合などは、労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、休業手当の支払いが必要となることがあります。

ただし、本人が自主的に休む場合や、法令上の就業制限など会社の責任とはいえない事情による休業では扱いが異なります。個別の事情によって判断される点には注意が必要です。

寝坊やシフトの勘違いで休んだ場合

寝坊やシフトの確認ミスは本人側の過失として扱われやすく、注意や指導、場合によっては就業規則に基づく懲戒の対象になる可能性があります。

ただし、本人に落ち度があっても、会社が自由に罰金を設定できるわけではありません。

別のバイトをダブルブッキングした場合

掛け持ち先とシフトが重なり、一方を急に欠勤した場合も本人都合の欠勤です。勤務評価に影響したり、繰り返せば勤務態度の問題として扱われたりすることは考えられます。

しかし、本人に落ち度があることと、会社が給料を自由に天引きできることは別問題です。

病気とウソをついて別の予定を優先した場合

実際には元気なのに「体調不良」と偽り、遊びや別の仕事を優先したことが判明すれば、単なる病欠より重く評価される可能性があります。

それでも、処分には合理性・相当性が求められ、減給する場合には労働基準法91条の制限を受けます。

遅刻や無断欠勤を何度も繰り返している場合

遅刻や無断欠勤を何度も繰り返せば、会社が勤務態度や職場規律の問題として対応する余地は大きくなります。

ただし、回数が多いからといって減給額の上限がなくなるわけではありません。

急な欠勤で店の売上が落ちたら損害賠償を請求される?

急な欠勤で店の売上が落ちた場合の、給料からの天引き、実際の損害賠償、当日欠勤の違約金条項の考え方を3つに分けて説明した図

「売上が落ちたから給料から引く」はできる?

「あなたが休んだから売上が3万円落ちた」と会社が主張しても、その3万円を当然に給料から差し引けるわけではありません。

労働基準法24条の賃金全額払いの原則には、使用者の損害賠償請求権を賃金と一方的に相殺することを禁止する趣旨も含まれます。損害賠償を求める場合でも、原則として賃金は賃金として支払う必要があります。

会社に実際の損害が発生した場合は?

労働者の故意や過失によって会社に実際の損害が発生した場合、損害賠償を請求される可能性はあります。

ただし、常に損害の全額を負担するわけではありません。過失の程度、業務内容、会社側の管理体制などを踏まえ、「損害の公平な分担」という観点から責任が制限される場合があります。

契約書に「当日欠勤は○円」と書かれていた場合

労働基準法16条は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額をあらかじめ予定したりする契約を禁止しています。

そのため、「当日欠勤1回につき1万円を支払う」など、欠勤について違約金や損害賠償額をあらかじめ決めている場合は問題になります。

一方、就業規則に懲戒処分として減給を定めること自体は禁止されていません。この場合は労働基準法91条の上限や、懲戒としての合理性・相当性が問題になります。

ワンオペの日に休んで店が営業できなくなった場合は?

突然の病気で休業状態になった場合

突然の病気で本人に大きな落ち度がなく、速やかに連絡していた場合、店が休業したという結果だけで直ちに本人が損害を負担するとはいえません。

本人の故意・過失、欠勤と損害との因果関係、代替要員を用意できない勤務体制だったことなど、個別の事情によって判断されます。

シフトを忘れて店を開けられなかった場合

シフトを忘れ、連絡もしないまま店を開けられなかった場合は、突然の病気より本人の責任が重く評価される可能性があります。

ただし、懲戒処分と損害賠償は別問題です。

無断欠勤で店を休業させた場合

連絡できるにもかかわらず意図的に無断欠勤し、その結果として店が営業できなかった場合は、事情によって損害賠償を請求される可能性があります。

しかし、「無断欠勤=休業日の売上全額を支払う」と自動的に決まるわけではありません。

休業日の売上全額を請求されることはある?

普段なら5万円売れる店が休業したとしても、その5万円がそのまま本人の負担する損害額になるとは限りません。

会社が損害賠償を求める場合は、欠勤との因果関係がある損害を具体的に示す必要があります。また、本人の過失の程度や会社側の管理体制なども考慮されます。

懲戒としての減給なら認められる?

会社が減給処分をするために必要な条件

減給などの懲戒には根拠が必要です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では就業規則の作成・届出が必要で、制裁を定める場合には、その種類や程度を就業規則に記載します。

さらに労働契約法15条により、懲戒が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は無効となります。

就業規則に書いてあれば何でも有効になるわけではない

就業規則に「無断欠勤は減給」と書かれていても、どのような処分でも有効になるわけではありません。

減給額は労働基準法91条の範囲内である必要があります。また、「欠勤1回につき○円」という定めが違約金や損害賠償額の予定に当たる場合は、労働基準法16条との関係も問題になります。

給料を不当に天引き・減給されたらどうすればいい?

不当な天引きや減給が疑われるときは、まず証拠を確保し、会社に理由を確認したうえで、必要に応じて相談窓口や手続を利用していくことが大切です。

不当な減給や天引きをされたときの、証拠保存・会社への確認・相談・法的手続の流れを示した図

まず給与明細・就業規則・LINEなどを保存する

給与明細、労働条件通知書や雇用契約書、就業規則、シフト表、欠勤を連絡したLINEやメールなどを保存しておきましょう。

給与明細に「罰金」「減給」などの記載がなくても、実際の労働時間に対して振込額が少ない場合があります。

タイムカードやシフト表など実際に働いた時間が分かる記録を保存し、「時給×労働時間」と実際の支給額との差額もメモしておくと、会社や相談窓口へ説明しやすくなります。

まずは「欠勤時間分の不支給」「懲戒としての減給」「損害賠償名目の天引き」のどれなのかを確認することが重要です。

会社に減給の理由を確認し、不足分の支払いを求める

会社に「何を根拠に、いくら差し引いたのか」を確認します。不当な天引きだと考える場合は、差し引かれた賃金の支払いを求めましょう。

メールなど記録が残る方法で確認しておくと、その後に相談するときにも役立ちます。

労働基準監督署に相談・申告できる?

働いた分の賃金が支払われていない、労働基準法91条の上限を超えて減給されたなど、労働基準法違反が疑われる場合は、労働基準監督署への相談や申告を検討できます。

一方、時給変更の有効性や損害賠償など民事上の争いは、別の相談窓口や裁判手続が必要になる場合があります。

総合労働相談コーナーや労働局のあっせんとは?

総合労働相談コーナーでは、賃金引下げや懲戒など幅広い労働問題を無料で相談できます。

都道府県労働局の「あっせん」は、専門家が公平・中立な立場で話し合いを促す制度です。利用は無料ですが、相手方に参加を強制する制度ではありません。

返してもらえない場合は少額訴訟・労働審判も検討

話し合いや行政への相談でも解決しない場合は、裁判所の手続も選択肢です。

少額訴訟は60万円以下の金銭請求について原則1回の審理で解決を目指す制度です。労働審判は給料の不払いなど労働者と事業主のトラブルを扱い、原則3回以内の期日で審理します。

急な欠勤をした側に落ち度があっても、会社が自由に給料を減額したり、あらかじめ決めた罰金を天引きしたりできるわけではありません。「欠勤時間分の不支給」「懲戒減給」「損害賠償」を分けて考え、不自然な天引きがあれば根拠を確認することが大切です。

引用・参考資料

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