加熱したハチミツを赤ちゃんに与えても良い?クッキーなど加熱した食品も1歳未満はNG

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「ハチミツをそのまま赤ちゃんに与えてはいけないことは知っているけれど、加熱したものなら大丈夫では?」と考える人もいるかもしれません。ハチミツを生地に混ぜてオーブンで焼いたクッキーやパン、ハチミツ入りのホットケーキなどは、かなり高い温度で加熱します。

そのため「ボツリヌス菌も死んでいるのでは?」と思いやすいところです。

結論からいうと、1歳未満の赤ちゃんには、加熱したハチミツや、ハチミツを使った料理・お菓子も絶対に与えないで下さい。

厚生労働省は、1歳未満の赤ちゃんにはハチミツだけでなく、ハチミツ入りの飲料やお菓子なども与えないよう呼びかけています。

この記事では、なぜ加熱しても安全とはいえないのか、ボツリヌス菌の「菌」「芽胞」「毒素」の違い、1歳未満の赤ちゃんが食べてしまった場合に起こり得ること、何歳からなら食べられるのかを分かりやすく解説します。

目次

加熱したハチミツでも1歳未満には与えない

厚生労働省によると、ハチミツにはボツリヌス菌が混入していることがあります。

問題になるのは、ボツリヌス菌が形成する「芽胞」です。芽胞とは、菌が生き残るためにつくる非常に丈夫な状態で、熱に強い性質があります。

厚生労働省は、ボツリヌス菌の芽胞の耐熱性について「120℃、4分」としており、通常の加熱や調理では死滅しないと説明しています。

そのため、「一度温めた」「沸騰させた」「オーブンで焼いた」といった理由だけで、1歳未満の赤ちゃんに安全な食品になったとは判断できません。

東京都も、ハチミツを使ったパンや焼き菓子など、加熱された食品にも注意が必要だと案内しています。

ハチミツ入りクッキーを焼けば大丈夫?

たとえば、ハチミツ入りクッキーを170℃や180℃のオーブンで焼いたとします。

ただし、オーブンの設定温度と食品そのものの温度は同じではありません。

オーブンを180℃に設定しても、クッキーの表面と中心部では温度が異なり、芽胞が確実に死滅したとは限らないことを示す図

また、芽胞を確実に死滅させるには、必要な温度に食品全体が達し、必要な時間その状態を保つことが求められます。家庭で焼いたクッキーやパンについて、「中まで何℃になり、何分間その温度だったか」を正確に確認するのは現実的ではありません。

つまり、焼き菓子だから安全、パンだから安全とはいえません。

厚生労働省も「ハチミツ入りのお菓子」を1歳未満に与えないよう明記しています。ハチミツ入りクッキー、パン、蒸しパン、ホットケーキなども、1歳未満には避けるのが安全です。

煮たり電子レンジで加熱したりしても同じ

「クッキーのように焼けばダメでも、鍋で長く煮れば大丈夫なのでは」と考えるかもしれません。

しかし、通常の煮込み調理や電子レンジ加熱も、ボツリヌス菌の芽胞を確実に死滅させる方法とはいえません。

特に水分の多い料理では、通常の家庭調理で、芽胞を確実に死滅させる条件を食品全体で満たしたか確認するのは困難です。電子レンジも加熱ムラが起きることがあるため、「十分長く温めたから大丈夫」と判断するのは避けた方がよいでしょう。

圧力鍋など高温になる調理器具を使った場合でも、食品全体が芽胞を確実に死滅させる温度・時間の条件を満たしたか家庭で確認するのは難しいため、「圧力鍋なら大丈夫」と判断するのは避けましょう。

1歳未満に与える料理は、最初からハチミツを使わずに作る方法が最も確実です。

「菌を殺しても毒が残るから危険」なの?

ここは誤解されやすいポイントです。

ボツリヌス菌について考えるときは、「増殖中の菌・芽胞・菌が作る毒素」を分ける必要があります。

食品安全委員会によると、ボツリヌス毒素は熱に弱く、十分な加熱によって失活します。一方、芽胞は非常に熱に強く、通常の加熱では生き残ることがあります。

つまり、「ハチミツを加熱しても、すでにできている毒素が必ず残るから危険」という説明は正確ではありません。

乳児ボツリヌス症が起こる流れを整理すると、次のようになります。

ハチミツに含まれることがある芽胞を赤ちゃんが摂取し、腸内で発芽・増殖して毒素を作り、乳児ボツリヌス症につながる流れを示す図

仮に食品中に存在していた毒素を加熱によって失活させられたとしても、芽胞まで確実に取り除けたことにはなりません。このため、加熱によってハチミツを1歳未満向けに「安全化する」という考え方は現実的ではありません。

ボツリヌス菌とは?

ボツリヌス菌は、土壌など自然界に広く存在する細菌です。

酸素の少ない環境で増殖し、強い神経毒であるボツリヌス毒素を作ります。また、増殖に適さない環境になると芽胞という熱に強い状態になり、生き残ることができます。

1歳以上では、ボツリヌス菌の芽胞が体内に入っても、他の腸内細菌によって芽胞の発芽が抑えられるため、通常は問題になりません。厚生労働省は、1歳以上の人にとってハチミツはリスクの高い食品ではないとしています。

一方、1歳未満の赤ちゃんは腸内環境がまだ十分に整っていません。そのため、取り込んだ芽胞が腸内で発芽して菌が増え、毒素を作ることがあります。これが「乳児ボツリヌス症」です。

芽胞は、菌そのものとは別の毒物ではありません。ボツリヌス菌が厳しい環境で生き残るために形成する耐久性の高い状態です。赤ちゃんの腸内のように条件が整うと発芽し、再び増殖する菌の状態に戻ります。

1歳未満の赤ちゃんが食べるとどうなる?

ハチミツを食べたからといって、すべての赤ちゃんが乳児ボツリヌス症になるわけではありません。

ただし、発症した場合には、便秘、母乳やミルクを吸う力の低下、元気がなくなる、泣き声が弱くなる・変わる、首のすわりが悪くなるといった症状が現れることがあります。

症状が進むと全身の筋力が低下し、呼吸に影響することもあります。厚生労働省によれば、ほとんどの場合は適切な治療によって治りますが、まれに死亡することもあります。

そのため、「少量なら問題ない」「加熱してあるから様子を見ればよい」と自己判断するのは避けましょう。

誤って食べてしまった場合は?

まずは、食べた食品、食べた量、食べた時刻などを確認しておくとよいでしょう。

乳児ボツリヌス症は、食べた直後に症状が出るとは限りません。食品安全委員会では、潜伏期間は明確ではないものの、3~30日程度と推定されています。

便秘が続く、母乳やミルクを飲む力が弱い、いつもより元気がない、泣き声がおかしい、体に力が入りにくいといった変化がみられた場合は、早めに医療機関を受診してください。

誤って食べてしまって不安がある場合は、小児科などに相談しましょう。

授乳中の母親はハチミツを食べても大丈夫?

1歳未満の赤ちゃんにハチミツを直接与えるのは避ける必要がありますが、授乳中の母親までハチミツを控える必要はありません。

母親がハチミツを食べたことで、ボツリヌス菌の芽胞や毒素が母乳を通じて赤ちゃんに移るものではないとされています。ただし、ハチミツが付いた手や食器などを赤ちゃんが口にしないよう、ハチミツを扱った後は手を洗っておきましょう。

何歳からハチミツを与えても良い?

厚生労働省は「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから」と案内しています。

「離乳食が順調に進んでいるから」「11か月で大人と同じような物を食べられるから」といった理由で早める必要はありません。11か月と1歳の差は短く感じますが、行政の注意喚起に従い、1歳になるまでは避けましょう。

満1歳を過ぎれば、乳児ボツリヌス症の観点ではハチミツはリスクの高い食品ではないとされています。

ただし、ハチミツは糖分を多く含みます。1歳を過ぎたからといって、積極的に食べさせる必要はありません。

市販のパンやお菓子も原材料を確認しよう

注意したいのは、家庭でハチミツを使った料理だけではありません。

市販のパン、焼き菓子、カステラ、シリアル、飲料、ソースなどにもハチミツが使われていることがあります。見た目だけでは判断できないため、1歳未満の赤ちゃんに与える食品は原材料表示を確認しましょう。

原材料表示に「はちみつ」「蜂蜜」などが記載されている場合は避けるのが基本です。

一方で、商品名に「ハニー風味」と書かれていても、必ずしも実際のハチミツが使われているとは限りません。反対に、商品名からは分かりにくくても原材料として使われている場合があります。

商品名だけで判断せず、原材料表示を見る習慣をつけると安心です。

兄や姉、祖父母など、普段赤ちゃんの食事を用意しない家族にも、1歳未満にはハチミツ入りの食品を与えないことを共有しておきましょう。

まとめ

1歳未満の赤ちゃんには、生のハチミツだけでなく、加熱したハチミツやハチミツ入りのクッキー、パン、飲料なども与えないようにしましょう。

ボツリヌス毒素は十分な加熱によって失活しますが、芽胞は熱に強く、通常の調理では生き残る可能性があります。オーブンを高温に設定していても、食品全体がその温度になるとは限りません。

そのため、「加熱したから大丈夫」と判断せず、満1歳になるまではハチミツを使わないことが確実な予防策です。

満1歳を迎えた後は、乳児ボツリヌス症の観点では過度に恐れる必要はありません。年齢に合った食事の中で取り入れていきましょう。

引用・参考資料

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