部屋の明るさはどれくらいが良い?PC作業・普段の生活・寝る前の照明を解説

部屋の照明は「明るければ明るいほど良い」というものではありません。読書やPC作業では暗すぎると文字が見づらくなりますが、寝る直前まで強い光を浴び続けると、睡眠・覚醒リズムに影響する可能性があります。

また、同じ部屋でも、くつろぐとき、仕事をするとき、寝る前では適した明るさが異なります。照明の色も、昼間は白っぽい光、夜はオレンジ色に近い暖色系の光に変えることで、生活のリズムに合わせやすくなります。

この記事では、部屋の明るさを表す「ルクス」の意味から、普段の生活、事務作業・PC作業、就寝前に適した明るさ、白色とオレンジ色の使い分けまで解説します。

目次

部屋の明るさは「ルクス」で考える

リビング200~300ルクス、書斎・PC作業750ルクス、曇りの日の屋外1,000~5,000ルクス、晴れた日の屋外約10万ルクスの明るさ比較

部屋の明るさを考えるときによく使われる単位が「ルクス(lx)」です。ルクスは、机や床などの面にどの程度の光が届いているかを表します。照明器具を購入するときは、「ルーメン(lm)」や「○畳用」という表示を目にすることも多くあります。ルーメンは照明器具から出る光の量、ルクスは机や床など実際に照らされた面の明るさを表すものです。同じ照明器具でも、部屋の広さや光源からの距離などによってルクスは変わります。天井照明を選ぶときは適用畳数やルーメンを確認し、手元が暗い場合はデスクライトなどで補うと調整しやすいでしょう。

例えば、晴れた日の屋外は約10万ルクスと非常に明るく、曇りの日の屋外でも1,000~5,000ルクス程度あります。一方、一般的な室内は数十~数百ルクスほどです。つまり、机上などの照度が500ルクスの場合、室内では十分明るく感じても、約10万ルクスの晴天時の屋外と比べれば200分の1程度の照度です。

そのため、PC作業や読書では「部屋全体が明るいか」だけでなく、机上や手元に十分な明るさが届いているかも確認することが大切です。

普段過ごす部屋は200~300ルクス程度がひとつの目安

テレビを見たり、家族と話したりして過ごすリビングでは、200~300ルクス程度がひとつの目安になります。

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)が、日本産業規格(JIS)の照明基準を参考にまとめた例でも、リビング・団らんは200~300ルクスとされています。約10万ルクスの晴れた屋外と比べればかなり暗いものの、室内でくつろぐ時間の目安として示されている明るさです。

ただし、リビングで細かい文字を読む場合は話が別です。団らんには十分でも、小さな文字を長時間読むには暗く感じることがあります。その場合は部屋全体を必要以上に明るくするより、デスクライトやスタンドライトを使い、必要な場所だけ明るくすると調整しやすくなります。

反対に、廊下や移動だけを目的とする場所までリビングと同じ明るさにする必要はありません。NCNPの資料では一般的な建物の廊下は100ルクス、階段は150ルクスが例として示されています。

事務作業・PC作業は300ルクス以上、書斎では750ルクスもひとつの目安

自宅で書類を読んだりPC作業をしたりする場合は、リビングでくつろぐときよりも明るい環境が向いています。

厚生労働省の事務所衛生基準規則では、一般的な事務作業を行う作業面は300ルクス以上と定められています。また、情報機器作業のガイドラインでも、ディスプレイを使う場合、書類上とキーボード上を300ルクス以上にすることが示されています。

ただし、300ルクスは職場で守るべき最低基準です。一方、NCNPがJISを参考に示した例では、書斎での勉強・読書・PC作業は750ルクスとされています。そのため、PC作業では少なくとも300ルクス以上を確保したうえで、作業内容や文字の見やすさに応じて、750ルクス程度も参考に調整するとよいでしょう。

参考までに、NCNPの資料では、コンビニやスーパーのレジ付近、学校の講義室は500~1,000ルクスとされています。書斎・PC作業の例として示されている750ルクスは、この範囲内の明るさです。

PC画面だけ明るくするのは避ける

PC画面だけが明るい環境と、周囲にも適度な照明をつけて画面との明暗差や映り込みを抑えた環境の比較

夜に照明を消してPC画面だけを明るくすると、画面と周囲の明暗差が大きくなります。厚生労働省のガイドラインでも、ディスプレイ画面、書類・キーボード面、周辺の明るさの差をできるだけ小さくするよう求めています。

周囲にも適度な照明をつけ、画面の明るさを室内に合わせて調整しましょう。また、窓や照明が画面に映り込む場合は、カーテンやブラインド、照明の位置で調整します。

照明は白とオレンジのどちらが良い?

照明の色には、白っぽく青みを感じるものから、電球のようにオレンジ色に見えるものまであります。どちらか一方が常に優れているのではなく、時間帯や目的に応じて使い分けるのがおすすめです。

日中の仕事や勉強では十分な明るさを確保し、夕食後にくつろぐ時間や就寝前は、オレンジ色に近い暖色系へ切り替えると、昼と夜のメリハリをつけやすくなります。

特に睡眠との関係では「色」だけでなく「明るさ」も重要です。厚生労働省の睡眠ガイドでは、体内時計に影響する光として460~480nm付近の短波長光、いわゆるブルーライトの影響が強いと説明しています。

ただし、「オレンジ色の照明なら、どれだけ明るくても問題ない」という意味ではありません。厚生労働省は、暖色系に設定したLEDでも短波長光を含むため、夜間は明るすぎないよう調節する必要があるとしています。

したがって、夜は「白色からオレンジ色へ変える」だけで終わらせず、同時に照度も下げることがポイントです。

寝る前はいつから部屋を暗くすれば良い?

睡眠を意識するなら、就寝の2~3時間前から徐々に照明を落としていくとよいでしょう。

日中は明るく過ごし、就寝3時間前から照明をやや暗くして暖色系へ切り替え、就寝時はできるだけ暗くする流れ

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、就寝の約2時間前から睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が始まり、それ以降に照明やスマートフォンの強い光を浴びると、メラトニンの分泌が抑制され、入眠を妨げる可能性があると説明しています。

さらにNCNPは、実践方法として寝る3時間前から部屋の照明をやや暗めにし、暖色系の光へ切り替えたり、間接照明を利用したりする方法を紹介しています。

3時間前から真っ暗にする必要はありません。生活に支障がない範囲で普段よりやや暗めにし、就寝に近づくにつれて光を減らしていくとよいでしょう。

寝室はできるだけ暗くする

寝ている間は「うっすら明るい方が安心」という人もいるかもしれません。しかし厚生労働省の睡眠ガイドでは、低い照度の光でも中途覚醒時間が増え、睡眠効率が低下するとの報告が紹介されており、寝室はできるだけ暗くして寝ることが勧められています。

NCNPの明るさの例では、深夜の寝室・廊下は1~10ルクスとされています。1~10ルクスは、日中の室内照明とは比べものにならないほど暗い環境です。

夜中にトイレへ行くなど、完全な暗闇では転倒が心配な場合は、天井照明を明るく点灯するのではなく、足元灯や間接照明を使う方法があります。厚生労働省も、高齢者では夜間の転倒を防ぎながら目に入る光を減らすため、間接照明や足元灯を活用する工夫を示しています。

日中は逆に明るい光を取り入れる

夜を暗くするだけでなく、日中にしっかり明るい光を浴びることも大切です。

厚生労働省の睡眠ガイドでは、日中に1,000ルクス以上の光を浴びることで体内時計が調節され、夜の入眠を促す効果が期待できるとしています。1,000ルクスは、NCNPの例では曇りの日の屋外の下限程度です。室内の一般的な照明だけで到達しにくい場合があるため、朝はカーテンを開け、日中は可能な範囲で屋外の光を取り入れるとよいでしょう。

つまり、睡眠のために一日中薄暗い部屋で過ごすのは適切とはいえません。「朝から日中は明るく、夜は暗く」という差をつけることが重要です。

部屋の明るさは用途と時間帯に合わせて変える

部屋の明るさに、すべての人・すべての時間帯に共通する一つの正解があるわけではありません。また、必要な明るさは年齢によっても変わります。日本照明工業会では、年齢を重ねると若い頃より明るさが必要になるとして、高齢者がいる部屋では明るめの照明器具を選び、必要に応じて調光して使う方法を案内しています。

また、同じ750ルクスでも光源が直接目に入る場合と、机を柔らかく照らす場合では感じ方が違います。明るさの数値だけを追うのではなく、まぶしさや画面への映り込み、周囲との明暗差も確認しましょう。

調光・調色できる照明なら、昼は白く明るめ、夜はオレンジ色で暗めに設定すると使い分けやすくなります。タイマーやスケジュール機能がある場合は、就寝時刻に合わせて自動で減光・暖色へ切り替えるよう設定する方法もあります。

まとめ

部屋の明るさは、用途と時間帯によって変えることが大切です。事務作業やPC作業では少なくとも300ルクス以上を確保し、書斎・PC作業では750ルクスという例も参考にするとよいでしょう。

一方、寝る前は明るさを落とし、白色よりもオレンジ色に近い暖色系の照明を使うのがおすすめです。就寝の2~3時間前から少しずつ暗くし、寝るときはできるだけ照明を消します。

「何ルクスなら絶対に快適」と考えるのではなく、生活する時間帯、作業内容、年齢、見え方に合わせて調整することが重要です。日中は明るく、夜は暗くという基本を意識しながら、自分が過ごしやすい照明環境を整えてみてください。

引用・参考資料

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