掃除用の除菌シートを購入しようとすると、「アルコール配合」と「ノンアルコール」の2種類を見かけることがあります。
「どちらも除菌シートだから同じでは?」
「アルコール入りのほうが効果が高そう」
このように思う方も多いでしょう。しかし、実際には用途や使用できる場所、手肌への影響などに違いがあります。
間違った使い方をすると、家具や床を傷めたり、思ったような効果が得られなかったりすることもあります。
この記事では、アルコール入り・ノンアルコールの違いや、それぞれのメリット・デメリット、適した使用場面、手肌への影響まで分かりやすく解説します。
除菌シートのアルコールあり・なしの違い
最も大きな違いは、アルコール(主にエタノール)が配合されているかどうかです。
アルコール入りは、エタノールの働きによって細菌を減らし、一部のウイルスを不活化する効果が期待でき、乾きも早いのが特徴です。ただし、すべての菌やウイルスに有効とは限りません。
一方、ノンアルコールタイプには、界面活性剤やその他の除菌成分を配合した製品があります。アルコールによる刺激やにおいを避けやすい一方、成分や濃度によって効果や使用できる場所が異なります。
ただし、「ノンアルコール=除菌できない」という意味ではありません。
製品によって配合成分が異なるため、除菌性能は商品ごとの表示や用途を確認することが大切です。
「除菌」と「消毒」は同じではない
除菌シートの「除菌」は、対象物に付着した菌やウイルスの数を減らすことを表します。一方、「消毒」は、有害な微生物を無害化することを指す言葉です。
市販されている掃除用の除菌シートは、すべての菌やウイルスに効果があるわけではありません。アルコールの有無だけで判断せず、パッケージに記載された用途、有効成分、対象となる菌やウイルス、使用方法、使用できる場所を確認しましょう。
アルコール入り除菌シートの特徴
メリット
乾きが早くベタつきにくい
アルコールは揮発しやすいため、水分が残りにくく、拭いたあとがサラッと仕上がります。
拭いたあとを早く乾かしたい場所でも扱いやすいでしょう。
衛生管理に向いている
アルコールは細菌やエンベロープを持つウイルスなどに効果が期待されており、家庭でも衛生管理によく利用されています。
人が頻繁に触れる場所をこまめに拭く場合にも適しています。
デメリット
素材によっては変色・劣化することがある
アルコールは素材によって相性があります。
例えば、
- ワックス加工された床
- 革製品
- 漆塗り
- 一部の樹脂
- 液晶画面
などでは変色やひび割れ、コーティングの劣化を招く場合があります。
掃除する前に、使用できる素材か確認しましょう。
手荒れしやすい場合がある
アルコールには皮脂を落としやすい性質があるため、頻繁に使うと手が乾燥する場合があります。具体的な症状や対策は、後ほど詳しく解説します。
ノンアルコール除菌シートの特徴
メリット
アルコールによる刺激やにおいを避けやすい
ノンアルコールタイプは、アルコールによる刺激やにおいを避けたい場合に選びやすい製品です。
ただし、界面活性剤や保存料などが含まれているため、手肌への刺激が必ず少ないとは限りません。
使用できる場所が広い場合がある
ノンアルコールタイプには、アルコールを使えない素材に対応した製品もあります。
ただし、ノンアルコールなら木製家具やフローリングに必ず使えるわけではありません。界面活性剤などの成分が塗装、ワックス、コーティングに影響する可能性もあるため、製品に記載された対応素材を確認しましょう。
デメリット
乾くまで時間がかかることがある
アルコール入りに比べると揮発しにくいため、拭いたあとに水分が残りやすい場合があります。
すぐに乾いてほしい場所では少し不便に感じることもあります。
アルコール入りと同じ効果・用途とは限らない
ノンアルコールタイプは、配合されている成分によって、除菌の仕組みや効果の対象が異なります。
そのため、「アルコール入りと全く同じ効果」と考えるのではなく、製品の用途や対象となる菌・ウイルスを確認して選ぶことが大切です。
それぞれが適している場面
アルコール入りが向いている場所・場合
アルコール入り除菌シートは、人が頻繁に触れる場所を手早く拭きたい場合や、拭いたあとを早く乾かしたい場合に向いています。
例えば、次のような場所です。
- ドアノブ
- 冷蔵庫の取っ手
- トイレのレバー
- 照明のスイッチ
- リモコンの外側
テーブルにも使える場合がありますが、素材や表面加工によっては注意が必要です。特に、木製テーブルは塗装やコーティングの種類によって、変色や白化、塗膜の劣化が起こることがあります。
使用前に、家具の取扱説明書と除菌シートの注意書きを確認しましょう。使用できるか判断できない場合は、目立たない場所で試すか、別の掃除方法を選んでください。
また、スイッチやリモコンなどの電子機器は、液が内部に入ると故障するおそれがあります。シートから液が垂れる場合は使用を避け、機器の取扱説明書に従って掃除しましょう。
ノンアルコールが向いている場所・場合
ノンアルコールタイプは、アルコールを避けたい場所や、アルコールによる刺激・においが気になる場合に向いています。
例えば、次のような場所・場合が挙げられます。
- 木製家具
- フローリング
- 子どものおもちゃ
- アルコールによる手肌への刺激が気になる場合
- アルコール臭が苦手な場合
ただし、ノンアルコールでも、これらの場所に必ず使用できるわけではありません。
使用前に除菌シートの注意書きを確認し、対象物の取扱説明書やメーカーのお手入れ方法を確認できる場合は、そちらにも従いましょう。
手肌への影響はある?
まず、掃除用の除菌シートは手指用の製品ではないため、手や顔を拭く目的には使用しないでください。掃除中に液が手につくのが気になる場合は、製品表示に従って手袋を使用しましょう。
アルコール入り除菌シートを使用すると、必ず手荒れするわけではありません。
しかし、アルコールは皮脂を落としやすいため、何度も使用すると乾燥しやすくなることがあります。
乾燥が進むと、
- カサつき
- ひび割れ
- 赤み
- かゆみ
などの原因になることもあります。
一方、ノンアルコールタイプはアルコールによる刺激を避けられるものの、香料や保存料、界面活性剤などによって肌に合わない場合もあります。
そのため、「ノンアルコールだから絶対安心」とは言えません。
肌が弱い方は、
- 使用後は手を洗い、必要に応じてハンドクリームで保湿する
- 長時間使用する場合はゴム手袋を使う
- 異常を感じたら使用を中止する
といった対策をすると安心です。
除菌シートを使うときの注意点
除菌シートは手軽に使えますが、製品や掃除する場所に合った使い方をすることが大切です。
使用できる素材を確認する
除菌シートは、製品によって成分や使用できる素材が異なります。
木製家具、ワックスを塗った床、革製品、液晶画面などは、成分によって変色や劣化が起こることがあります。使用前に除菌シートの注意書きと、掃除する製品の取扱説明書を確認しましょう。
目立つ汚れは先に取り除く
食べこぼしや油汚れ、ほこりなどが目立つ場合は、先に汚れを取り除いてから除菌シートを使用します。
強い汚れを1枚のシートで落としながら広い範囲を拭くと、汚れを周囲に広げてしまうことがあります。汚れを落とすための掃除と、仕上げの除菌を分けて考えるとよいでしょう。
シートを乾燥させない
シートが乾燥すると、液剤が拭く場所全体に行き渡りにくくなります。
使用後は容器や袋のフタをしっかり閉め、乾燥を防ぎましょう。長期間保管して乾いてしまったシートに、水やアルコールを自己判断で追加するのも避けてください。
電子機器や火気の近くでは注意する
スマートフォン、パソコン、リモコンなどの電子機器は、液が内部に入ったり、表面のコーティングが傷んだりする場合があります。必ず機器の取扱説明書を確認し、指定された方法で掃除してください。
また、アルコール入りの製品は、コンロやストーブ、たばこなどの火気の近くでは使用しないようにしましょう。
アルコール入りとノンアルコール、どちらを選べばよい?
結論として、「どちらが優れている」というより、用途によって使い分けることが重要です。
次の点を確認しましょう。
- 掃除する素材に使用できるか
- 対象となる菌やウイルスが表示されているか
- 使用後の拭き取りや水拭きが必要か
- 手肌への刺激やアルコール臭が気になるか
「アルコール入り」「ノンアルコール」という表示だけで決めず、用途、成分、使用方法、注意事項まで確認することが大切です。
家庭に両方を用意しておくと、場所に応じて使い分けやすくなります。ただし、使用する場所が限られる場合は、対応素材を確認して必要な種類だけを選んでもよいでしょう。
まとめ
掃除用の除菌シートは、アルコール入りとノンアルコールで特徴が異なります。
アルコール入りは乾きが早く衛生管理に向いていますが、素材や手肌への影響に注意が必要です。
ノンアルコールは、アルコールによる刺激やにおいを避けやすく、アルコールを使えない素材に対応した製品もあります。ただし、成分によって除菌方法や使用できる場所が異なります。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、掃除する場所や目的に合わせて使い分けることで、より安全で効率的に掃除ができるでしょう。
引用・参考資料
- 厚生労働省「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html
- 独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)
「新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価について最終報告」
https://www.nite.go.jp/information/osirase20200626.html

