庭や家庭菜園の雑草は、抜いてもすぐに生えてくるため、「除草剤を使わずに完全になくすことはできないのか」と考える人も多いでしょう。小さな子どもやペットがいる家庭や、野菜を育てている場所では、薬剤を避けたい場合もあります。
結論からいえば、除草剤を使わずに雑草を減らすことは可能です。ただし、土の中にはすでに雑草の種や地下茎が残っており、周囲から新しい種も飛んできます。そのため、一度の作業で永久に一本も生えない状態にするのは困難です。
効果を長く保つには、草を取るだけでなく、遮光、種を落とさせない管理、地表の被覆を組み合わせる必要があります。ここでは、ビニールシートの効果、シート以外の方法、野菜の近くでの対処法を解説します。
雑草が何度も生えてくる理由
雑草を地上部分だけ刈っても再び伸びるのは、土の中に根、地下茎、種が残っているためです。スギナやドクダミなど、地下茎を広げる植物は、地上部を取り除いただけでは根絶しにくい種類です。無理に耕すと地下茎が細かく切れ、それぞれから芽が出ることもあります。
一年草も油断できません。花が咲いて種ができるまで放置すると、その場に翌年以降の発生源を増やします。雑草対策では、大きく育ってからまとめて処理するより、発芽直後や草丈が低いうちに取り除き、種を作らせないことが重要です。
農林水産省の有機農業に関する資料でも、露地栽培の雑草対策として、マルチ、小さいうちの手取り除草、中耕などが広く行われています。つまり、薬剤を使わない場合は、一つの方法だけに頼るのではなく、発生段階に応じた作業を繰り返すことが基本です。
黒色系のシートを敷けば雑草はなくなる?
雑草を抑える目的なら、光を通しにくい黒色系のシートは有効です。植物は十分な光を得られないと光合成ができず、地表を隙間なく覆うことで、シートの下にある雑草は徐々に弱っていきます。
ただし、色が付いていれば何色でもよいわけではありません。薄い色や半透明のシートでは光を十分に遮れず、下で雑草が育つ場合があります。青色や緑色でも遮光性が高ければ効果は期待できますが、色だけで判断せず、光をほとんど通さないかを確認しましょう。
また、畑で使う黒色マルチと、庭や通路に使う防草シートは用途が異なります。黒色マルチは野菜の畝を覆い、雑草を抑えながら地温や土壌水分を管理する資材です。一方、防草シートは、植物を育てない庭や通路などに長期間敷き、雑草の発生を抑える目的で使います。
防草専用品ではない一般的なビニールシートも、一時的な遮光には利用できます。ただし、水を通さないため雨水がたまりやすく、地面が過度に湿ることがあります。さらに、紫外線で劣化すると細かく破れ、回収しにくくなる点にも注意が必要です。長期間の対策には、使用場所に合った黒色マルチや防草シートを選ぶほうが扱いやすいでしょう。
シートを敷く前には、背の高い草を刈り、石や枝を取り除いて地面をできるだけ平らにします。端や継ぎ目から光が入ると、そこから雑草が伸びるため、シート同士を十分に重ね、風でめくれないように固定します。必要に応じて、端を土に埋めるか固定ピンで留めましょう。
すでに多年草が多い場所では、数週間敷いただけで完全になくなるとは限りません。地下に栄養を蓄えた雑草は、暗い場所でもしばらく芽を出すことがあります。長めに覆い、端や隙間から出てくる芽をその都度取り除くことが大切です。
透明なビニールには別の使い方がある
透明なビニールは遮光には向きませんが、夏の強い日差しを利用した太陽熱処理に使われることがあります。土を十分に湿らせたうえで透明なフィルムを密着させ、太陽光で地温を高める方法です。農研機構も、盛夏期の太陽熱利用土壌消毒で土中の雑草種子などを抑える技術を紹介しています。
ただし、効果は季節、日照、被覆期間、土の深さによって変わります。曇天が続く露地では温度が十分に上がらず、深い場所の種や地下茎まで処理できない場合があります。栽培中の野菜まで高温の影響を受けるため、作物が植わっている場所には実施できません。基本的には、真夏の休ませている畝などで行う方法です。
黒色系のシートによる遮光と、透明フィルムによる太陽熱処理は、目的が異なります。単純に雑草へ光を当てたくないなら黒色、夏の高温を利用して土壌表層の種などを減らしたいなら透明、と使い分けましょう。
ビニールシートを敷く以外の方法
草が小さいうちに抜く
シンプルですが、確実性の高い方法です。雨が降った後など、土が適度に湿っているときに行うと、根まで抜きやすくなります。花や種が付く前に処理すれば、翌年以降の発生源も減らせます。
根が深い雑草は、地上部だけを強く引くと途中で切れます。根元の土を移植ごてなどで軽く緩めてから抜きましょう。ただし、地下茎が広範囲に伸びる種類は一度に取り切れないため、新芽が出るたびに除去し、地下の栄養を徐々に消耗させます。
鎌や草刈り機でこまめに刈る
広い場所をすべて手で抜くのは現実的ではありません。通路や空き地では、草丈が低いうちに鎌や草刈り機(刈払機)で刈る方法が効率的です。根は残りますが、葉を何度も失わせることで成長や種づくりを抑えられます。
再生したら、種を付ける前に再び刈ることが大切です。草刈り機を使う際は、石などを確認し、保護具を着用します。
表面を浅く削る・中耕する
発芽したばかりの小さな雑草には、レーキ、三角ホー、ねじり鎌などで土の表面を浅く削る方法が向いています。鹿児島県の有機農業資料でも、生育初期に土壌表層を軽く混和することで、芽を出した直後の雑草を防げるとされています。
深く耕すと、地中に眠っていた種を表面へ移動させたり、野菜の根を切ったりする可能性があります。雑草が大きくなる前に、晴天が続く日に表面だけを薄く削り、掘り返し過ぎないのがポイントです。
ワラ、刈り草、落ち葉などで地表を覆う
畑では、ワラ、十分に乾かした刈り草、落ち葉、ウッドチップなどを敷く方法もあります。地面へ届く光を減らし、雑草の発芽や成長を抑える仕組みです。土の乾燥を和らげ、泥はねを減らせることも利点です。
ただし、薄く敷いただけでは隙間から草が出ます。風で飛ばされない程度の厚みを持たせ、減ってきたら追加します。種を付けた雑草や、地下茎が生きている刈り草を敷くと、かえって増えることがあるため使用しないでください。ナメクジなどが隠れやすくなる点にも注意が必要です。
砂利や舗装で地面を覆う
植物を育てない通路や建物の周囲なら、防草シートの上に砂利を敷く方法があります。砂利だけでは土やほこりがたまり、その上に雑草が生えるため、下に防草シートを敷くほうが管理しやすくなります。
舗装は抑草効果が高い一方、費用がかかり、雨水の流れや夏の照り返しも変わります。将来花壇や畑へ戻す可能性がある場所では、撤去しやすい方法を選ぶとよいでしょう。
育てている野菜の近くではどう対応する?
野菜の近くでは、雑草だけでなく作物の根も守らなければなりません。株元を深く掘ったり、勢いよく引き抜いたりすると、絡み合った野菜の細い根まで傷めることがあります。株のすぐ近くは手で慎重に抜き、畝間は浅く削るなど、場所によって方法を変えましょう。
植え付け前なら、畝を黒色マルチで覆い、苗を植える部分だけ穴を開ける方法が有効です。すでに野菜を植えている場合は、株元を避けてワラや乾燥した刈り草を敷きます。茎へ湿った資材を密着させると蒸れや病気の原因になることがあるため、株元には少し空間を残します。
野菜の根元に生えた小さな草は、土が湿っている日に指でつまみ、野菜を押さえながらゆっくり抜きます。根が絡んで抜きにくい場合は、無理に引かず、地際で切って再生するたびに処理したほうが安全です。
熱湯、塩、濃い酢などを「自然な除草剤」として使う方法は、家庭菜園の近くでは勧められません。熱湯は野菜の根や土壌生物にも影響し、やけどの危険があります。塩は土に残って作物の生育を妨げ、周囲へ流出するおそれがあります。酢も濃度や使い方によって植物を傷めるため、食用だから安全とは限りません。
雑草を増やさない年間管理のコツ
除草剤を使わない場合、最も大切なのは作業をため込まないことです。春から初夏は成長が速いため、庭を定期的に見回し、小さい草を数分ずつ取るほうが、真夏にまとめて作業するより負担を減らせます。
まず、雑草が種を付ける前に抜くか刈ることを優先します。次に、畝や花壇はマルチ資材、通路は防草シートや砂利で覆い、地面がむき出しの場所を減らしましょう。シートの継ぎ目や固定ピンの穴、壁際、野菜の植え穴は雑草が出やすいため、重点的に確認します。
一本も生えない状態を目指すより、「大きく育てない」「種を落とさせない」「作業量を毎年減らす」と考えたほうが続けやすくなります。多年草が多い場所では、遮光と繰り返しの刈り取りを併用し、数か月から数年かけて弱らせる視点も必要です。
まとめ
除草剤を使わずに雑草を減らすには、現在の草を処理すると同時に、新しく生えにくい環境をつくることが重要です。光を遮るなら、色が付いているだけでなく、十分な遮光性がある黒色系のシートが適しています。透明なビニールは遮光用ではなく、盛夏の太陽熱処理に利用されるものです。
シートを使わない場合は、小さいうちの手取り除草、こまめな草刈り、浅い中耕、ワラや刈り草による被覆などを組み合わせます。野菜の近くでは深く掘らず、株元は手作業、畝間は浅い除草、地表はマルチで覆う方法が安全です。
雑草は周囲からも侵入するため、永久にゼロにするのは簡単ではありません。しかし、種を付けさせず、裸地を減らし、発芽直後に対処する習慣を続ければ、除草剤を使わなくても管理の負担は軽くできます。
引用・参考資料
- 農林水産省「有機農業に関する技術の確立に向けた取組について」
https://www.maff.go.jp/j/study/yuki_suisin/02/pdf/ref_data6.pdf - 鹿児島県「有機農業栽培技術指針 B 雑草防除」
https://www.pref.kagoshima.jp/ag04/sangyo-rodo/nogyo/gizyutu/kankyo/yuuki/documents/71177_20190315143517-1.pdf - 農研機構「夏期の太陽熱利用による雑草防除」
https://www.naro.go.jp/org/warc/research_results/skk_seika/h07/skk95086.htm - 長崎県「除草対策技術」
https://www.pref.nagasaki.jp/e-nourin/nougi/section/03reclaimed_land/tebiki2011/082.pdf

