暑い夏は、汗を流すためにシャワーだけで済ませる人も多いでしょう。しかし、「夏だから水に近い温度が良い」「熱いシャワーのほうがさっぱりする」と考えている人も少なくありません。
実は、シャワーの温度は快適さだけでなく、体温調節や肌への負担、さらにはガス代にも影響します。
この記事では、夏場のシャワーは何度が最適なのかを中心に、その理由や冷えを感じやすい人・年齢による違い、ガス代への影響まで分かりやすく解説します。
夏場のシャワーは38~39℃程度が快適な目安
結論からいうと、夏場のシャワーは38~39℃程度が、快適さと肌への負担のバランスを取りやすい目安です。
もちろん好みはありますが、この温度帯には次のようなメリットがあります。
- 汗や皮脂を十分に洗い流せる
- 身体を温めすぎない
- 急激な体温変化を避けられる
- 肌への刺激が比較的少ない
暑い日は冷たいシャワーを浴びたくなりますが、実際には38~39℃程度のぬるめのお湯のほうが、多くの人にとって快適です。
なぜ38~39℃が良いのか
身体を温めすぎない
42℃以上の熱いシャワーは、身体が必要以上に温まります。
一時的には気持ちよく感じますが、浴室を出たあとに体内にこもった熱を逃がそうとして大量の汗をかき、「結局また汗だく」という状態になりやすくなります。
一方、38~39℃なら必要以上に体温を上げず、汗も引きやすくなります。
汗や皮脂は十分落とせる
汗そのものは水でも流れますが、皮脂や汚れは適度に温かいお湯のほうが落ちやすくなります。
そのため、38~39℃程度でも十分に清潔な状態にできます。
逆に冷たすぎる水では皮脂が落ちにくく、さっぱり感が少なく感じることがあります。
肌への負担が少ない
日本皮膚科学会と日本アレルギー学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」では、アトピー性皮膚炎のスキンケアにおいて、入浴やシャワーの温度は38~40℃がよいとされています。42℃以上では皮脂や天然保湿因子が失われやすく、かゆみも起こりやすいため推奨されていません。
特に夏は紫外線で肌がダメージを受けているため、高温のシャワーを毎日浴びると肌の乾燥を招くことがあります。
38~39℃程度なら、洗浄力と肌への優しさのバランスが取りやすいでしょう。
冷たいシャワーは体に良い?
猛暑では冷水シャワーを浴びたくなりますが、毎回おすすめできるわけではありません。
メリット
- 火照った身体を素早く冷やせる
- 気分転換になる
- 一時的に眠気が覚める
- シャワー後の爽快感を得やすい
デメリット
- 血管が急激に収縮し、心臓や血管に負担がかかることがある
- 身体が体温を維持しようとして、あとから暑く感じる場合がある
- 皮脂汚れが落ちにくく、十分なさっぱり感を得られないことがある
- 高齢者や高血圧の人には急激な温度変化が負担になりやすい
冷たい水を浴びると、血管が急激に収縮します。その後、身体は体温を維持しようとして熱を作り出すため、シャワーを終えたあとに再び暑く感じることがあります。
暑い日でも、最初は38℃程度のお湯で身体を洗い、最後だけ少し冷ためのお湯で仕上げる方法なら、身体への負担を抑えながら爽快感を得られるでしょう。
熱いシャワーは夏でも避けたほうが良い?
41~43℃程度の熱いシャワーが好きな人もいます。
しかし夏場では次のようなデメリットがあります。
- 入浴後に汗が止まりにくい
- 肌が乾燥しやすい
- のぼせやすい
- 疲労感が増す場合がある
もちろん短時間なら大きな問題になるとは限りませんが、毎日長時間浴びるのはあまりおすすめできません。
冷え性の人は少し高めが良い?
冷えを感じやすい人は、38℃程度ではぬるく感じることがあります。その場合は、無理に38℃に合わせる必要はなく、39~40℃程度まで上げて調整してもよいでしょう。
ただし、「冷え性だから熱いほどよい」というわけではありません。冷えを感じやすい人に対して、一般の人より高いシャワー温度を一律に推奨できる明確な根拠は、今回確認した資料では見当たりませんでした。
また、同ガイドラインでは、アトピー性皮膚炎のスキンケアにおいて、入浴やシャワーの温度は38~40℃がよいとされています。42℃以上では皮脂や天然保湿因子が失われやすく、かゆみも起こりやすいため推奨されていません。
そのため、冷えを感じやすい人も、まずは38~39℃程度から試し、寒く感じる場合だけ40℃程度まで上げるのがよいでしょう。夏場は身体を温めすぎるとシャワー後に汗をかきやすくなるため、肌の状態やその日の体調に合わせた調整が大切です。
年齢による違いはある?
子ども
子どもの肌は大人より薄く、高温のお湯は刺激になりやすいため、37~38℃程度でも十分です。
大人
一般的には38~39℃程度が快適です。
仕事や運動で大量に汗をかいた場合でも、熱すぎるお湯にする必要はありません。
高齢者
高齢になると温度を感じにくくなることがあります。
そのため、知らないうちに熱いシャワーを浴びてしまう場合があります。
また急激な温度変化は身体への負担も大きいため、38℃前後を目安にするのがおすすめです。
湯船に入らず、シャワーだけでも十分?
夏は湯船に入らずシャワーだけという人も多いでしょう。
健康な人であれば、毎日シャワーだけでも特に問題ありません。
ただし、
- 身体が冷えやすい人
- 疲れが取れにくい人
- 冷房の効いた室内で長時間過ごす人
などは、週に数回でも湯船に浸かると身体を温めやすくなります。
暑い夏でも38~40℃程度のお湯に10~15分ほど入るだけで十分です。
クールシャンプーを使うとシャワーが冷たく感じる?
夏向けのクールシャンプーや清涼感のあるボディソープを使うと、普段と同じ温度のシャワーでも、いつもより冷たく感じることがあります。
これは、クール系の商品に配合されることがあるメントールが、低温とメントールに反応する受容体「TRPM8」を活性化するためです。そのため、実際の水温が下がっていなくても清涼感が生じ、普段より冷たく感じる可能性があります。
ただし、これはクールシャンプーを使った人の体感を直接調べた結果ではなく、メントールとTRPM8の働きから考えられる仕組みです。「使用すると何℃分冷たく感じる」といった具体的な差までは分かっていません。
クール系の商品を使って清涼感が強く感じられるときは、水温の表示と自分の体感に差が出る可能性があります。いきなり設定温度を大きく下げるのではなく、まずは通常と同じ38~39℃程度で使い、暑く感じる場合に少しずつ調整するとよいでしょう。
【おまけ】シャワーの温度が1℃違うとガス代はいくら変わる?
「たった1℃なら変わらない」と思うかもしれませんが、実は少しずつ差が出ます。
例えば、
- 水温:25℃
- 使用湯量:60L
- 毎日1回使用
と仮定すると、お湯を1℃高くするために必要な熱量は約0.07kWhです。
都市ガス・LPガスとも料金は契約によって異なりますが、おおよその目安では1回あたり約1~3円程度増えるケースが多くなります。
※「1回約1~3円」は公的機関が公表した一律の金額ではなく、一定の条件を置いて算出した目安です。
つまり、
- 1日:約1~3円
- 1か月:約30~90円
- 1年間:約360~1,100円程度
の差になる計算です。
大きな金額ではありませんが、家族全員が毎日使う家庭では差が広がります。
「少し熱いほうが好き」という理由だけで41℃や42℃に設定しているなら、38~39℃に下げることで快適さと節約の両立が期待できます。
※実際のガス代は水温・給湯器の効率・ガス料金・使用湯量などによって変わります。また、シャワーの温度だけでなく、流している時間や使用湯量によってもガス代は変わります。資源エネルギー庁によると、シャワーを1分間使うと約12Lのお湯が流れます。節約を重視するなら、設定温度を下げるだけでなく、洗っている間はこまめに止めることも意識しましょう。
まとめ
夏場のシャワーは、38~39℃程度が快適さと肌への負担のバランスを取りやすい目安です。
冷たいシャワーは一時的には気持ち良く感じますが、身体への負担や体温調節を考えると毎回おすすめとはいえません。また、熱すぎるシャワーは汗が止まりにくくなったり、肌の乾燥につながることがあります。
冷えを感じやすい人は39~40℃程度まで上げてもよいですが、熱すぎるお湯は肌への負担になります。また、子どもや高齢者は少しぬるめを意識すると安心です。
さらに、設定温度を1℃下げるだけでも年間ではガス代の節約につながる可能性があります。
夏は「熱いほど気持ち良い」「冷たいほど涼しい」と考えるのではなく、自分の身体に負担が少なく、快適に過ごせる38~39℃を目安にしてみてはいかがでしょうか。
引用・参考資料
- 日本皮膚科学会・日本アレルギー学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」
https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/ADGL2024.pdf - 資源エネルギー庁「風呂・トイレ|無理のない省エネ節約」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/bathtoilet/index.html - Liu B, Qin F.「Functional control of cold- and menthol-sensitive TRPM8 ion channels by phosphatidylinositol 4,5-bisphosphate」
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6725927/

